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この記事の結論
- フランス株の片道手数料負担率は0.41%で、取引手数料だけを見れば最も軽い国です。ただし大型株の買付には金融取引税0.4%が別にかかるため、買うときの合計はドイツ(0.61%)より重くなります
- 配当の現地源泉税は原則12.8%(日仏租税条約の限度税率は10%)。ドイツ26.375%・スイス35%よりは軽いものの、通常の配当に源泉徴収がないイギリスのほうが軽いです
- 10万円・利回り3%・1年保有で、手数料・買付税・配当税を全部足すとフランス約2.14%。ドイツ2.46%・スイス3.63%で、1年ならフランスが最も軽いものの、5年保有ではイギリスに抜かれます
- フランス企業40社の実測では、PER中央値17.68倍、配当利回り中央値3.24%です(2026年9月2〜3日時点)
※この記事は2026年9月11日に、結論を見直して書き直しました。当初は「手数料も配当課税も最安」としていましたが、フランス株の買付には金融取引税0.4%がかかること、配当の現地源泉税は原則12.8%(条約の限度税率10%)であること、イギリスは通常の配当に源泉徴収がないことを一次資料で確認したためです。「コストが最も軽い」とは言えなくなりましたので、お詫びして訂正します。
欧州株は、国によって同じ利回りの銘柄を買っても手元に残る額が変わります。理由は単純で、手数料と配当課税の重さが国ごとに違うからです。当サイトではこれまで、取引所別の手数料負担率と国別の配当課税をそれぞれ実測し、10万円・利回り3%・1年保有という前提で合計コストを試算しました。この記事では、その試算で最も軽かったフランスに絞って、コストの中身を見ていきます。
手数料負担率は0.41%で最も軽い——ただし買付時に0.4%の税が乗る
先にお断りしておきます。ここで比べているのは証券会社の取引手数料です。フランスには、これとは別に、本社がフランスにあり時価総額が10億ユーロを超える会社の株式を買うときに0.4%の金融取引税がかかります(2025年4月1日以降の取得。当サイトが2026年9月11日にフランス税務当局の資料で確認)。LVMHやエルメスなど、この記事で扱うフランス株の大半が対象です。手数料が最も軽くても、買うときの合計ではドイツより重くなる——これが、当初の結論を書き直した理由です。買付税の中身は別記事にまとめています。
サクソバンク証券の公式手数料表をもとに取引所別の負担率を試算した記事によると、10万円あたりの片道手数料負担率はパリ取引所が0.41%と、サクソバンク証券が扱う9取引所のうちで最も軽いという結果でした。最も重かったストックホルムは1.11%で、フランスの2.7倍以上にあたります。約定金額が小さいほど手数料の負担率は重くなりやすいため、この差は少額の取引ほど効いてくると考えられます。
手数料は証券会社の公式料金表という一次資料にもとづく数字なので、配当利回りのように市場で日々動くものと違い、買う前の時点で分かっている数少ない要素です。同じ銘柄を同じ金額で買うなら、取引所による負担率の差は、事前に把握しておいて損はないと思います。
配当課税は原則12.8%——最も軽いのはフランスではなくイギリス
手数料は一度きりの負担ですが、配当課税は保有している限り毎年かかってきます。フランスが非居住者の配当に課す源泉税は原則12.8%(2026年1月1日時点)で、日仏租税条約の限度税率は10%です。条約の10%が源泉徴収の時点で自動的に適用されるかは、当サイトでは確認できていません。ドイツの26.375%やスイスの35%と比べれば軽い国ですが、7か国を一次資料で比べた記事のとおり、通常の配当に源泉徴収がないイギリスのほうがさらに軽いため、「最も軽い」とは言えません。
ここで書いているのは、あくまで一般的な仕組みとしての税率の比較です。実際の申告方法や外国税額控除の扱いは個人の状況によって変わるため、個別の申告については税理士や税務署にご確認ください。
合計コストは約2.14%——ドイツとの差は0.3ポイントまで縮まる
手数料と配当課税を合算した試算では、フランスの位置づけがより分かりやすくなります。当サイトの実測データを表にまとめました。
| 指標 | フランス | 7か国での位置 |
|---|---|---|
| PER中央値 | 17.68倍 | 3番目に低い |
| 配当利回り中央値 | 3.24% | 高いほう |
| 配当性向中央値 | 55% | 中位 |
| 浮動株比率 | 74.3% | 4番目 |
| 配当の年平均増加率 | 13.4% | 3番目に高い |
これに手数料・買付税・配当課税を重ねた合計コストの試算が、次の表です。当初は買付税を足さず、配当税を条約の10%で計算していたため1.67%としていましたが、2026年9月11日に数え直しました。
| 国 | 片道手数料負担率 | 買付税 | 配当の現地源泉税(原則) | 1年の合計コスト |
|---|---|---|---|---|
| フランス | 0.41% | 0.40%(大型株) | 12.8%(条約10%) | 約2.14% |
| ドイツ | 0.61% | なし | 26.375% | 約2.46% |
| スイス | 1.09% | なし | 35% | 約3.63% |
同じ10万円・利回り3%という前提でも、手元に残る額はフランスが最も多く、スイスが最も少ないという結果になりました。差の大部分は配当課税の重さで説明がつくと考えられますが、手数料の軽さも加わって、フランスの合計コストを押し下げています。
この記事で気になった銘柄が実際に取引できるかを、口座の画面で確かめられます。
欧州株1,800銘柄以上・9取引所に対応。特定口座あり、NISAは対象外です。最低手数料が効くため、少額の買付では負担率が上がります。
業種は分散、ラグジュアリーはフランスが5社と最多
フランス企業の業種構成を見ると、資本財が3社、自動車が3社、公益が2社、銀行が2社と、特定の業種に偏らず分散しているのが特徴です。国別の業種構成を実測した記事で見たとおり、国別のPERの差の多くは業種構成の違いで説明できると考えられますが、フランスはこの点でも極端に偏っていないため、読みやすい部類に入ると思います。
一方で、際立って多い業種もあります。ラグジュアリー株18社を実測した記事によると、そのうちフランスが5社と最多で、LVMH・エルメス・ロレアル・ケリング・エシロールルクソティカが該当します。ほかにも、PERと利回りと配当性向で条件を絞った54社のうちフランスは11社、4年連続増配51社のうちフランスは9社、利回りと増配率がともに高い20社のうちフランスは5社と最多になるなど、複数の切り口でフランス企業が上位に顔を出しています。
ADRの注意——TradingViewで現地シンボルが出ない
フランス株を調べるうえで、事前に知っておきたい注意点があります。当サイトの実測では、フランス株はTradingViewで現地のシンボルをそのまま表示できないことがあり、その場合は米国のADR(預託証券)でチャートを代用する必要があります。この欧州株は買えるのかを確かめる手順を解説した記事でも触れていますが、英国株と並んでフランス株はこの制約に当てはまりやすい国です。
もう一点、ADRと原株とで1年騰落率が大きくずれることがある点にも注意が必要です。ADRのチャートだけを見て値動きを判断すると、実際の原株の動きとは異なる印象を持ってしまう可能性があります。ADRはあくまで代用手段であり、原株そのものではないことは押さえておいたほうがよいと思います。
まとめ:コストの軽さは事前に分かる数少ない要素
- 片道手数料負担率はフランス0.41%で最も軽いが、大型株の買付には金融取引税0.4%が別にかかる
- 配当の現地源泉税は原則12.8%(条約の限度税率10%)。イギリスは源泉徴収なしで、フランスより軽い
- 10万円・利回り3%・1年保有で全部足すとフランス約2.14%(ドイツ2.46%・スイス3.63%)。5年保有ではイギリスが最も軽くなる
- 業種は分散気味だが、ラグジュアリーは18社中5社と最多
- TradingViewでは米国ADRの代用が必要で、原株との騰落率のずれにも注意
当初は「フランスがいちばん手元に残る」と書きましたが、買付税と原則の源泉税率を足して数え直すと、1年保有ではわずかに最も軽く、長く持つならイギリスに抜かれる、という位置に落ち着きました。フランス株の魅力はコストの軽さよりも、ラグジュアリーをはじめとする会社の顔ぶれにあると、いまは思っています。コストは事前に分かる数少ない要素ですが、「手数料表に載っている数字」だけで判断すると順位を間違える——それが今回の教訓でした。
特定口座で確定申告の手間を減らしながら、日本語の画面で欧州株を持つ。その入口です。NISAを優先したい方には、IB証券という選択肢もあります。
口座の種類と開設までの日数は当サイトの解説記事にまとめています。NISAは対象外です。
この記事の検証方法
- フランス企業40社のPER・配当利回り・配当性向・浮動株比率・配当の年平均増加率は、2026年9月2〜3日に当サイトが実測しました
- 片道手数料負担率(フランス0.41%・スイス1.09%)は、取引所別の手数料負担率を試算した別記事の集計によるもので、サクソバンク証券クラシック口座の公式手数料表にもとづきます
- 配当課税の税率(フランス10%・ドイツ26.375%・スイス35%)は、国別の配当課税を比較した別記事の集計によるものです
- 10万円・利回り3%・1年保有の合計コスト(フランス約2.14%・ドイツ2.46%・スイス3.63%(2026年9月11日に買付税と原則税率を加えて改訂))は、手数料と税金を合算して試算した別記事の集計によるもので、この記事単独の集計ではありません
- ラグジュアリー株の国別内訳は、ラグジュアリー株18社を実測した別記事の集計によるものです
- TradingViewでのシンボル表示状況、ADRの要否、ADRと原株の騰落率の差は、この欧州株は買えるのかを確かめる手順を解説した別記事で実測した内容にもとづきます
- 本記事の税率にかんする記述は一般的な仕組みの説明であり、個別の申告については税理士や税務署にご確認ください
- この記事の数値は当サイトが取り上げた銘柄に限った集計であり、フランス市場全体を代表するものではありません
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する銘柄を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ポルトガル在住30代の兼業投資家です。インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座で、欧州株ETFを中心に保有しています。ヨーロッパには、日本ではあまり知られていなくても、世界中で愛されている会社がたくさんあります。その面白さと、日本からの買い方を、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思って書いています。株価の見通しは、根拠と計算式を示して書きます。確認できていないことはそう書き、誤りがあれば訂正の経緯を記事に残して直します。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載のPER・配当利回り・手数料負担率・配当課税の税率は、それぞれの実測時点(2026年8月〜9月)のものであり、制度改正や市場の変動により変更される場合があります。税率にかんする記述は一般的な仕組みの説明であり、個別の申告については税理士や税務署にご確認ください。特定の国・銘柄が有利であることを保証するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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