※この記事の数字は、2026年9月に集計の誤りを直したうえで取り直したものです。経緯は末尾の「この記事の検証方法」に書いています。
※本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれます。
この記事の結論
- 2026年9月2日、当サイトが記事化している欧州株のPER・配当利回りを同じ日に一斉に取得し直しました。PERが算出できた256銘柄の中央値は18.18倍です
- 国別の中央値は最安のイタリア15.01倍から最高のスイス25.97倍まで、約1.7倍の差があります。この差の正体は国そのものではなく、その国に多い業種です
- スイスが高いのは医薬・ヘルスケア(中央値23.58倍)と資本財・機械(25.24倍)が多いから、イタリアが安いのは銀行(13.42倍)と公益(16.57倍)が多いからだと考えられます
- 配当利回りの中央値は2.75%(249社、2026年9月2日時点)です
「欧州株は米国株より割安」とはよく言われます。当サイトでも欧州株はなぜ米国株より安いのかという記事で、STOXX Europe 600とS&P500の予想PERを比較しました。ただ、あの記事の数字は指数全体の話です。当サイトが実際に取り上げてきた個別の欧州株、一社一社のPERがどう分布しているのかは、別に見せる必要があると考えました。
そこで、初期の記事も含めて266銘柄を対象に、2026年9月2日に株価データサイト(stockanalysis.com)からPER・配当利回りを機械的に取得し直しました。個別銘柄の記事は執筆日がばらばらで、それぞれの記事に書かれたPERを並べても横並びの比較にはなりません。同じ日に取り直したのは、この記事のためです。
国別の実測結果——最安はイタリア15.01倍、最高はスイス25.97倍
この記事の目玉が、国別の中央値です。当サイトが取り上げている7か国について、PERの中央値を計算するとこうなりました。
| 国 | 社数 | PER中央値 |
|---|---|---|
| イタリア | 37 | 15.01倍 |
| スペイン | 28 | 16.18倍 |
| フランス | 40 | 17.68倍 |
| デンマーク | 20 | 18.06倍 |
| ドイツ | 49 | 18.30倍 |
| イギリス | 44 | 22.33倍 |
| スイス | 38 | 25.97倍 |
最も低いイタリアの15.01倍と最も高いスイスの25.97倍では、約1.7倍の差があります。ここで「イタリア株は割安、スイス株は割高」と早合点したくなりますが、それは違うと思います。
差の正体は業種構成——スイスは医薬と資本財、イタリアは銀行と公益
理由は業種別の中央値を見ると分かります。当サイトが業種別に実測した別記事によると、全業種のうちPERが最も高いのは資本財・機械(中央値25.24倍)と医薬・ヘルスケア(23.58倍)で、スイスにはこの2業種が集中しています(医薬3社・資本財2社)。一方、最もPERが低いのは銀行(13.42倍)と公益(16.57倍)で、この2業種はイタリアが最多です。
つまり、国の差の正体は、国そのものではなく、その国に多い業種の差です。PERが低い業種が多い国は国全体の中央値も下がり、PERが高い業種が多い国は国全体の中央値も上がる。それだけのことだと考えられます。国別の中央値は、実質的には「その国の産業構成を反映した数字」だというのが、このデータから見える読み方です。
この記事で気になった銘柄が実際に取引できるかを、口座の画面で確かめられます。
欧州株1,800銘柄以上・9取引所に対応。特定口座あり、NISAは対象外です。最低手数料が効くため、少額の買付では負担率が上がります。
「国が安い」を「その国の株が割安」と読まない
国別のPERを一覧で見ると、つい「安い国の株を買えばお得」という発想になりがちです。ですが、ここまで見てきたとおり、国別の中央値の差はほぼ業種構成の差で説明できます。イタリアの中央値が低いのは、イタリア企業そのものが割安というより、PERが低くなりやすい銀行や公益企業がイタリアに多いからです。逆にスイスの中央値が高いのは、成長期待が織り込まれやすい医薬・ヘルスケアや資本財・機械がスイスに多いからです。
PERを国同士で比べるときは、同じ業種同士で比べているかを一度確認したほうがよいと思います。国で選ぶ前に、何をしている会社が多い国なのかを見ておくと、見え方が変わってくるはずです。
配当利回りの中央値は2.75%
同じ日に、配当利回りも取得しました。有配で利回りが取得できたのは249社で、中央値は2.75%です(いずれも2026年9月2日時点。配当利回りは日々の株価で動くため、この数値は取得した日のものとお読みください)。高配当銘柄をまとめて見たい方は、高配当株ランキングの記事もあわせてご覧ください。
この記事の数字は、当サイトが決まった日に実測したものです。PERや利回りの条件を自分で変えて、最新のデータで欧州株を絞り込み直したいときは、GuruFocusという米国の分析サイトのスクリーナー(条件で銘柄を絞り込む機能)が使えます。同社は、スクリーナーと割安度の分析ツールが欧州の市場にも対応していると説明しています。
英語のサービスです。料金は地域ごとの年額で、2026年9月29日に料金ページで表示された欧州の料金は年499ドル(イギリス・アイルランドは別の地域で年369ドル)でした。7日間の無料体験は支払い情報の登録が必要で、期間内に解約しないと課金されます。当サイトはGuruFocusと提携しており、申込みがあると紹介料を受け取ります。
まとめ:PERの国別の差は、業種構成の差として読む
- 2026年9月2日に同じ日で実測した結果、PERの中央値は18.18倍(256銘柄)
- 国別の中央値は伊15.01倍〜瑞25.97倍で約1.7倍の差。差の正体はその国に多い業種
- スイスは医薬・ヘルスケアと資本財・機械が多く高PER、イタリアは銀行と公益が多く低PER
- 配当利回りの中央値は2.75%(249社、2026年9月2日時点)
国別のPERを並べると差が目につきますが、その差の中身は業種の違いであることが多いようです。国で選ぶ前に、何をしている会社が多い国なのかを見ておくと、見え方が変わると思います。
特定口座で確定申告の手間を減らしながら、日本語の画面で欧州株を持つ。その入口です。NISAを優先したい方には、IB証券という選択肢もあります。
口座の種類と開設までの日数は当サイトの解説記事にまとめています。NISAは対象外です。
この記事の検証方法
- PER・配当利回りは、2026年9月2日に株価データサイト(stockanalysis.com)から機械的に取得しました
- この記事は訂正版です。当初(2026年8月29日公開)の集計には、当サイトが初期に取り上げた銘柄(ネスレ・ロシュ・アリアンツ・BMW・シーメンスなど)が対象から抜けており、加えて数値の取り込みでカンマ区切りの数字を読み違える不具合もありました。2026年9月2日に266銘柄を対象に取り直し、この記事の数値をすべて差し替えています
- PERが取得できたのは256銘柄です。赤字などでPERが算出されない銘柄は集計から除外しています
- 配当利回りが取得できたのは249社です。無配の銘柄は集計から除外しています
- スウォッチは実績PERが1,054倍と他社と桁が違い、指標として比較できないため表から外しています
- 業種別の中央値(医薬・ヘルスケア、資本財・機械、銀行、公益)は業種別に実測した別記事の集計によるもので、この記事単独の集計ではありません
- 国別の中央値は、各国の銘柄のPERを小さい順に並べた際の中央の値です
- この記事の数値は当サイトが取り上げた銘柄に限った集計であり、欧州市場全体を代表するものではありません
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事に登場する銘柄を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ポルトガル在住30代の兼業投資家です。インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座で、欧州株ETFを中心に保有しています。ヨーロッパには、日本ではあまり知られていなくても、世界中で愛されている会社がたくさんあります。その面白さと、日本からの買い方を、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思って書いています。株価の見通しは、根拠と計算式を示して書きます。確認できていないことはそう書き、誤りがあれば訂正の経緯を記事に残して直します。詳しいプロフィール
あわせて読みたい
- GuruFocusとは|登録なしで見られる範囲と使い方【2026年】
- 欧州株は大型株と中型株どちらから始めるか|情報量とADRで分かれる
- 欧州株の配当利回りを業種別に実測|保険4.62%と医薬1.65%で3倍の差
- 実績PERと予想PERを全部比べた|204社中174社が増益見込みという中身
- 欧州株はなぜ米国株より安いのか|予想PER15倍と20倍の差の中身
免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載のPER・配当利回りは2026年9月2日時点で取得した情報にもとづいており、市場の変動により変更される場合があります。特定の銘柄が割安・割高であることを示すものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

コメント