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この記事の結論
- この記事で比べるのはラインメタル・ロールス・ロイス・BAEシステムズ・サフランの4社です
- 防衛需要に最も直結するのはラインメタルです。実績PERは約65.9倍と4社で最も高い一方、予想PERは約22.6倍です
- 予想PERは4社とも約21〜25倍の範囲にあり、実績PERほどの差はありません(2026年10月23日終値)
- ロールス・ロイス、サフランは主力が民間旅客機エンジンで、防衛は一部門です
- 4社ともSBI証券・楽天証券では買えず、サクソバンク証券などが必要です
欧州各国の防衛費拡大を背景に、防衛関連株への関心が高まっています。当サイトでは欧州の防衛・航空宇宙関連銘柄を取り上げてきました。この記事では、そのうち4社の特徴を横並びで整理します。
欧州防衛・航空宇宙関連株4社比較
| 銘柄(国) | 終値(10月23日) | 1株の円換算 | 実績PER | 予想PER | 配当利回り |
|---|---|---|---|---|---|
| ラインメタル(独) | 1,019.00ユーロ | 約17万8,800円 | 65.92倍 | 22.58倍 | 1.13% |
| ロールス・ロイス(英) | 1,164.20ペンス | 約2,440円 | 32.18倍 | 24.63倍 | 1.03% |
| BAEシステムズ(英) | 1,932.00ペンス | 約4,050円 | 27.68倍 | 21.47倍 | 1.96% |
| サフラン(仏) | 271.80ユーロ | 約4万7,700円 | 29.19倍 | 23.27倍 | 1.23% |
4社の主な事業は、ラインメタルが陸戦兵器・弾薬、ロールス・ロイスが航空機エンジン、BAEシステムズが艦艇・航空機・装甲車(幅広い)、サフランが航空機エンジン(CFMインターナショナル)です。なお、10月23日はサフランが7〜9月期の売上高を発表した日で、同日の終値はサフランが前日比10.00%安、ロールス・ロイスが7.57%安でした。サフランは同じ発表で、2026年の通期見通しを据え置いています。
関連して、航空機エンジンの部品供給・整備(MRO)に強みを持つMTUエアロエンジンズ(独)も、広い意味でこのテーマに含まれます。防衛の比重が大きい会社では、タレス(仏)、レオナルド(伊)、キネティック(英)も個別記事でご紹介しています。
この記事で気になった銘柄が実際に取引できるかを、口座の画面で確かめられます。
欧州株1,800銘柄以上・9取引所に対応。特定口座あり、NISAは対象外です。最低手数料が効くため、少額の買付では負担率が上がります。
「防衛株」と「航空機エンジン株」は別物
4社はひとくくりに「防衛関連」と語られがちですが、事業の中身はかなり異なります。
- ラインメタル:陸戦装備(戦車・装甲車・弾薬)に強く、純粋な防衛需要に最も直結する銘柄です。実績PERは約65.9倍とこの4社で最も高い一方、予想PERは約22.6倍で、ほかの3社に近い水準です
- ロールス・ロイス、サフラン:主力は民間旅客機向けエンジンで、防衛はあくまで一部門です。旅客需要と防衛需要の両方に連動します
- BAEシステムズ:艦艇・航空機・装甲車と事業が幅広く分散しています。実績PER・予想PERとも、この4社のなかでは最も低い水準です
「防衛費拡大の恩恵を最も直接受けるのはラインメタル」「航空需要の回復も取り込みたいならロールス・ロイスやサフラン」というように、狙いによって選ぶ銘柄が変わります。
PERの高さをどう見るか
直近の実績PERは、ラインメタル(約65.9倍)とロールス・ロイス(約32.2倍)が30倍を超え、サフラン(約29.2倍)とBAEシステムズ(約27.7倍)は30倍を下回っています。一方、予想PERは4社とも約21〜25倍の範囲に並んでいます。ラインメタルは実績と予想の差が特に大きく、アナリストの予想利益が直近1年の実績利益を大きく上回っていることを示しています。予想PERでも4社とも20倍を超えていることから、欧州の防衛費拡大や航空需要への期待は、ある程度株価に織り込まれていると考えられます。ラインメタルについては、個別記事で「受注残が利益に変わる速さ」を見る点として整理しています。
1社に集中させず、性格の異なる複数社に分散するという選択肢も検討できます。
共通の注意点
4社ともSBI証券・楽天証券では買えません。両社とも欧州の原株を扱っておらず、4社は米国のNYSE・ナスダックにも上場していないうえ、米国ADRは両社が扱わない店頭(OTC)銘柄のためです。マネックス証券も欧州の原株は扱っていませんが、ADRの扱いは当サイトでは確認できていません。買うにはサクソバンク証券などの選択肢が必要になります。NISAは使えず、配当課税は国によって異なります(ロールス・ロイス、BAEシステムズは英国株、ラインメタルはドイツ株、サフランはフランス株)。
10社の実測で見る防衛株の位置——利回りは最も低く、PERは最も高い
当サイトは2026年9月3日、欧州の航空・防衛関連10社を対象に、配当利回り・PER・配当性向を実測しました。ラインメタル・BAEシステムズ・サフラン・ロールス・ロイスに加えて、キネティックやタレス、レオナルドなど、防衛メーカーだけでなく航空機・航空エンジンメーカーまで含めた顔ぶれです。内訳は英4社・仏3社・独2社・伊1社で、国もいくつかに分かれています。詳しい内訳は別記事にまとめており、ここではその結果の要点だけをご紹介します。
| 指標 | 航空・防衛10社の中央値 | 他業種との比較 |
|---|---|---|
| 配当利回り | 1.22% | 9月3日の実測では10社すべてが2.05%以下で、当サイトが実測したどの業種よりも低い水準でした |
| PER | 28.90倍 | 資本財・機械(25.24倍)、医薬・ヘルスケア(23.58倍)よりも高い数字です |
| 配当性向 | 45% | 極端に低い数字ではなく、業種としては中位です |
配当性向は中位なのに利回りが低いという組み合わせから、「配らないから利回りが低い」のではなく「株価が高いから利回りが低い」と読めることは、実測記事のほうでも触れています。実際、BAEシステムズは52%、タレスは54%、エアバスは57%と、半分以上を配当に回している会社もあります。それでも利回りが低く見えるのは、株価水準そのものが高いためです。PERの高さは、防衛費拡大への期待がすでに株価に織り込まれていることの表れとも考えられます。
防衛株を評価するときは、こうした利回りやPERに加えて受注残高を見る、という当サイトの見方を別記事で整理しています。受注残高とは、契約は済んだもののまだ売上に計上されていない仕事の総量で、今期の決算だけでは見えない需要の強さを示す数字です。実例では、ラインメタルの受注残高は805億ユーロ(2026年6月末、同社の上半期決算)と過去最高、キネティックは48億ポンド(2026年3月期末、同社の通期決算)で前年比40%以上増となっています。ただし、受注残高は将来の利益そのものではありません。生産能力や納期にはタイムラグがあり、受注が積み上がっても、それがそのまま利益の増加につながるとは限らないためです。
なお、当サイトはこの記事でも地政学は予測しないという方針を守っています。どの銘柄が今後上がる・下がるといった見通しはここでも書きません。ご紹介したのは、あくまで実測した数字と、その数字をどう読むかという視点までです。
まとめ
- この記事では、欧州の防衛・航空宇宙関連からラインメタル・ロールス・ロイス・BAEシステムズ・サフランの4社を比べました
- ラインメタルが最も純粋な防衛需要に連動します。ロールス・ロイス、サフランは航空機エンジンが主力で、防衛は一部門です
- 実績PERはラインメタルとロールス・ロイスが30倍超、予想PERは4社とも約21〜25倍です。期待がある程度株価に織り込まれている点は意識しておきたいところです
- 4社ともSBI証券・楽天証券では買えず、サクソバンク証券などが必要です
| こんな人は | やり方 |
|---|---|
| 欧州株を現物で買って持ちたい | サクソバンク証券で現物 |
| ほかの証券会社とも比べたい | 欧州株を扱う証券会社の比較記事へ |
| 短期の値動きだけ取りたい | CFD(現物保有はできない) |
特定口座で確定申告の手間を減らしながら、日本語の画面で欧州株を持つ。その入口です。NISAの対象外である点は、あらかじめご承知おきください。
口座の種類と開設までの日数は当サイトの解説記事にまとめています。NISAは対象外です。
この記事の検証方法
- 手数料はサクソバンク証券の公式手数料表から計算しています
- 株価・為替レートは本文記載の基準日に実測した値です
- 業績・配当は企業の公式IR資料(一次資料)のみを出典としています
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事の銘柄を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ポルトガル在住30代の兼業投資家です。インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座で、欧州株ETFを中心に保有しています。ヨーロッパには、日本ではあまり知られていなくても、世界中で愛されている会社がたくさんあります。その面白さと、日本からの買い方を、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思って書いています。株価の見通しは、根拠と計算式を示して書きます。確認できていないことはそう書き、誤りがあれば訂正の経緯を記事に残して直します。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載の株価(2026年10月23日終値)・PER・配当利回り・為替は2026年10月25日に確認した情報に基づく概算であり、変更される場合があります。実際の取引条件は各証券会社の公式サイトで必ずご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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