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この記事の結論
- 10万円分を1銘柄買い、配当利回り3%を1年受け取って売った場合、手数料・買付税・配当税を合わせた負担は投資額の約2.14%〜3.63%になります(当サイトの試算)
- 1年保有で最も軽いのはフランス(約2.14%)、5年保有で最も軽いのはイギリス(約4.96%)です。最も重いのは1年でも5年でもスイスでした
- 旧版(フランス・ドイツ・スイスの3か国、買付税は未計算)からの変更点として、買付税と配当税の原則税率を加え、対象を7か国に広げました。この結果、フランスの負担は約1.67%から約2.14%に増えています
- この試算には為替の両替コストを含めていません。往復で約500円(10万円の場合)が上乗せになります(両替コストを試算した記事)
この記事は公開後に内容を見直し、数字を全面的に更新したものです。当初は買付時にかかる税金を試算に含めておらず、フランスの配当源泉税も条約が定める軽減税率で計算していましたが、実際に自動適用されるかを確認できていないため、原則税率に改めました。対象国も3か国にとどまっていたため、今回は7か国に広げ、お詫びして訂正いたします。
当サイトには、証券会社の手数料を比較した手数料の記事、国ごとの配当課税を比較した配当税の記事、そして買付時にかかる税金をまとめた買付税の記事が別々にあります。ただ、実際に投資をするときに知りたいのは「結局、1年でいくら引かれるのか」という合計額だと思います。手数料だけ、税金だけを見ていても、コストの半分しか見えていません。
そこで今回は、手数料・買付税・配当税をすべて足し合わせて、1年間と5年間でどれくらいのコストがかかるのかを試算しました。結論を先に言うと、1年保有ならフランス、5年保有ならイギリスがいちばん軽くなります。同じ「コストが軽い国」でも、何年持つかによって答えが変わってきます。この記事では、その中身を数字で見ていきます。
試算の前提:10万円・利回り3%・買付税と原則税率を足した
試算の条件をそろえるため、次のような想定を置きました。
- 10万円分を1銘柄買い、1年間保有し、配当利回り3%を受け取ってから売却する(5年版は5年後に売却)
- 往復手数料は手数料の記事で実測した、サクソバンク証券クラシック口座の10万円あたりの片道負担率を往復2回分にして計算
- 買付税は買うときに1回だけかかります。売るときにはかかりません
- 配当から引かれる税は現地の原則源泉税率と日本の20.315%を合わせたもので、外国税額控除を確定申告で使わない前提の数字です
- 円換算はECB参照レート(2026年8月27日・1€185.61円、1£216.48円、1CHF197.96円、1DKK24.83円)を使用
買付税は国によって対象が異なります。フランス・スペインは時価総額10億ユーロ超、イタリアは5億ユーロ超の会社が対象で、それ未満の小型株にはかかりません。一方、イギリスの印紙税は銘柄の規模を問わず全銘柄が対象です。また、条約が定める限度税率(仏10%・独15%・伊15%・西5%・丁15%・瑞10%)が源泉徴収の時点で自動的に適用されるかどうかは、当サイトでは確認できていません。適用されるのであれば、実際の負担はこの記事で示す数字より軽くなります。
この試算には為替の両替コストを含めていません。サクソバンク証券の円口座では、売買のたびに両替コストがかかります(同社が示す率は0.25%)。10万円を買って売ると往復で約500円が上乗せになり、国別に足した結果は両替コストを試算した記事にまとめました。また、この記事は一般的な仕組みの説明であり、税務アドバイスではありません。個別の申告の方法については、税理士や税務署にご確認ください。
1年でいくら引かれるか——7か国の表
前提をもとに、7か国で試算した結果が次の表です。
| 国 | 往復手数料 | 買付税 | 配当から引かれる税(現地の原則税率+日本20.315%) | 1年合計 | 投資額に対して |
|---|---|---|---|---|---|
| フランス | 820円 | 400円 | 約915円(現地12.8%) | 約2,135円 | 約2.14% |
| ドイツ | 1,220円 | 0円 | 約1,240円(現地26.375%) | 約2,460円 | 約2.46% |
| イギリス | 1,420円 | 500円 | 約609円(現地0.0%) | 約2,529円 | 約2.53% |
| デンマーク | 1,920円 | 0円 | 約1,255円(現地27.0%) | 約3,175円 | 約3.17% |
| スペイン | 2,040円 | 200円 | 約1,064円(現地19.0%) | 約3,304円 | 約3.30% |
| イタリア | 2,040円 | 200円 | 約1,231円(現地26.0%) | 約3,471円 | 約3.47% |
| スイス | 2,180円 | 0円 | 約1,446円(現地35.0%) | 約3,626円 | 約3.63% |
1年保有では、フランスとスイスの合計コストに約1.7倍の差があります。フランスは往復手数料が最も安く、買付税0.4%を加えても、配当税を含めた合計は7か国で最も軽くなりました。スイスは往復手数料が最も高いうえ、配当にかかる現地源泉税35%が重く効き、7か国で最も重い結果になっています。イギリスは印紙税0.5%が全銘柄にかかる一方、配当への現地源泉税がないため、1年時点では3位にとどまっています。
この記事で気になった銘柄が実際に取引できるかを、口座の画面で確かめられます。
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なぜフランスの数字が増えたのか——買付税0.4%と原則12.8%
旧版では、フランスの負担を約1.67%としていました。今回、約2.14%に増えたのには理由が2つあります。
1つ目は買付税0.4%(400円)を加えたことです。フランスの株式取引には、買うときだけ0.4%の税金がかかります。旧版ではこの税金を試算に含めていなかったため、その分だけ数字が軽く出ていました。
2つ目は配当源泉税を条約限度税率10%ではなく、原則税率12.8%で計算し直したことです。フランスと日本の租税条約では限度税率が10%と定められていますが、これが源泉徴収の時点で自動的に適用されるかどうかを当サイトでは確認できていません。そのため、確実な原則税率12.8%を使って試算しています。この2つを合わせた結果、フランスの負担は約1.67%から約2.14%に増え、2位のドイツ(約2.46%)との差も0.3ポイントまで縮まりました。
5年持つと順位が変わる——イギリスが最も軽くなる
次に、同じ銘柄を5年間保有した場合を試算しました。手数料と買付税は買うときの1回分、配当税は毎年発生するという前提です。
| 国 | 1年保有 | 5年保有(手数料・買付税は1回、配当税は毎年) |
|---|---|---|
| イギリス | 約2,529円(2.53%) | 約4,965円(4.96%) |
| フランス | 約2,135円(2.14%) | 約5,795円(5.79%) |
| ドイツ | 約2,460円(2.46%) | 約7,420円(7.42%) |
| スペイン | 約3,304円(3.30%) | 約7,560円(7.56%) |
| デンマーク | 約3,175円(3.17%) | 約8,195円(8.20%) |
| イタリア | 約3,471円(3.47%) | 約8,395円(8.39%) |
| スイス | 約3,626円(3.63%) | 約9,410円(9.41%) |
1年保有では3位だったイギリスが、5年保有では最も軽い国に入れ替わります。買付時に0.5%の印紙税がかかるものの、配当には現地源泉税がかからないため、保有年数が伸びるほど有利になっていく計算です。フランスは5.79%で2位でした。一方、最も重いのは1年でも5年でもスイスで、現地源泉税35%が毎年重くのしかかります。
ここから言えるのは、短期で売買するなら手数料と買付税、長期で持つなら配当税が主役になるという考え方です。旧版でも「長く持つほど税率が主役になる」という見立てを書きましたが、その税率で最も有利なのはフランスではなくイギリスだったというのが、今回7か国に広げて分かった点です。
この試算に含めていないもの・申告すれば戻る部分
最後に、この試算の前提と限界について書いておきます。
まず、条約が定める限度税率が源泉徴収の時点で自動的に適用されるかどうかを、当サイトではまだ確認できていません。適用されるのであれば、フランス・ドイツ・イタリア・スペイン・デンマーク・スイスの実際の負担は、この記事の数字より軽くなります。この点は確認でき次第、追って記事にしたいと思っています。
次に、買付税の対象や税率の中身については、この記事では計算に使う数字だけを載せています。詳しい制度の説明は買付税の記事にまとめています。同じように、7か国の配当税をどう比較するかは配当税の記事で、現地源泉税のうち条約限度税率を超えた分を申告で取り戻す手続きは還付の記事で、それぞれ詳しく扱っています。この記事はあくまで、手数料・買付税・配当税を足し合わせるところまでを目的にしています。
また、為替の両替コストは今回も試算に含めていません。両替を含めた場合の数字は両替コストを試算した記事で試算しています。繰り返しになりますが、本記事は一般的な仕組みの説明であり、税務アドバイスではありません。個別の申告については、税理士や税務署にご確認ください。
まとめ
- 10万円・利回り3%で試算すると、1年保有の負担は投資額の約2.14%〜3.63%
- 1年保有で最も軽いのはフランス(約2.14%)、5年保有で最も軽いのはイギリス(約4.96%)。最も重いのは1年でも5年でもスイス
- 短期なら手数料と買付税、長期なら配当税が主役になる
- 条約限度税率の自動適用、為替の両替コストは今回の試算に含めていない。実際の負担はこの試算より軽くなる部分も、重くなる部分もある
コストで国を選ぶなら、まず「何年持つつもりか」を先に決めたほうがいいと思います。1年ならフランス、5年ならイギリスと、同じ「コストが軽い国」でも答えが変わるからです。
筆者自身は長く持つ前提で欧州株ETFを保有しているのですが、今回の試算でいちばん意外だったのは、配当に現地源泉税がかからないイギリスの軽さでした。買付時の印紙税だけを見て「イギリスはコストが高い国」だと思い込んでいたのですが、5年、10年という単位で見ると、その印象は変わってくるのだと感じています。
特定口座で確定申告の手間を減らしながら、日本語の画面で欧州株を持つ。その入口です。NISAを優先したい方には、IB証券という選択肢もあります。
口座の種類と開設までの日数は当サイトの解説記事にまとめています。NISAは対象外です。
この記事の検証方法
- 試算の前提は10万円分を1銘柄購入し、配当利回り3%を受け取って1年後(5年版は5年後)に売却というものです
- 往復手数料は手数料の記事で実測したサクソバンク証券クラシック口座の取引所別・片道負担率を、往復2回分にして計算しました
- 買付税と配当税は、サクソバンク証券の取引概要と各国の一次資料をもとに、2026年9月11日に当サイトが確認しました
- 円換算はECB(欧州中央銀行)参照レート(2026年8月27日)を使用しています
- 条約が定める限度税率が源泉徴収時点で自動適用されるかは未確認のため、原則税率で試算しています
- 為替の両替コストは含めていません。当サイトで公式の数値を確認できていないためです
- 本記事は2026年9月11日、対象を3か国から7か国に広げ、買付税を加えて改訂しました
- 本記事は一般的な仕組みの説明であり、税務アドバイスではありません。個別の申告についてはご自身の状況に応じて税理士や税務署にご確認ください
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事で試算した国の個別株を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ポルトガル在住30代の兼業投資家です。インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座で、欧州株ETFを中心に保有しています。ヨーロッパには、日本ではあまり知られていなくても、世界中で愛されている会社がたくさんあります。その面白さと、日本からの買い方を、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思って書いています。株価の見通しは、根拠と計算式を示して書きます。確認できていないことはそう書き、誤りがあれば訂正の経緯を記事に残して直します。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものでも、税務上の助言を目的としたものでもありません。本記事は一般的な仕組みの説明であり、記載の手数料率・税率にもとづく試算は簡略化した一例です。実際に発生する手数料・税額は、証券会社・口座の種類・確定申告の有無・為替の両替コストなど、ご自身の状況により異なります。個別の税務の取扱いについては税理士や税務署にご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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