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欧州株は役員の売買も公表される|2万ユーロ超と決算前30日の禁止【2026年】

欧州株は役員の売買も公表される|2万ユーロ超と決算前30日の禁止【2026年】

※本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれます。

この記事の結論

  • EUでは、上場会社の役員と、その配偶者など近い関係の人が自社株を売買すると、名前つきで公表されます
  • 対象になるのは、1年の合計が2万ユーロに達してからの取引です。国によって1万ユーロまで下げたり、5万ユーロまで上げたりできます
  • 役員は会社と当局へ3営業日以内に届け出て、会社は受け取ってから2営業日以内に公表します
  • 決算の発表前30日間は、役員は自社株を売買できません(クローズド期間)

「会社の役員が自社株を買った」という話は、その会社をよく知る人の判断として関心を持たれやすいものです。欧州では、この売買がEUの規則にもとづいて公表されています。

この記事では、EUの市場濫用規則(MAR)の条文をもとに、何がどこまで公表されるのかを整理します。役員の売買から株価の先行きを判断する記事ではありません。

目次

誰の、どの売買が公表されるのか

根拠は、2014年4月16日のEU規則(596/2014)の第19条です。「経営上の責任を負う者の取引」という決まりで、日本では「役員の売買の公表」にあたります。

項目規則の内容
誰が取締役会・経営陣・監査役会などの構成員。これに加えて、その一員ではないが、内部情報に日常的に触れ、会社の将来に影響する決定ができる上級の役職者(第3条1項25号)
近い関係の人配偶者と、これに準じるパートナー。扶養している子。取引の日に1年以上同じ世帯で暮らす親族。これらの人が経営し、支配し、またはその利益のために設けられた法人や信託(第3条1項26号)
何を自分の勘定で行った、その会社の株・社債と、これに連動するデリバティブなどの取引すべて
いつまでに速やかに、遅くとも取引日から3営業日以内に、会社と監督当局の両方へ届け出る
公表会社は、届出を受け取ってから2営業日以内に内容を公表する
EUR-Lex掲載の規則(EU)596/2014の統合版より(2026年9月21日確認)

届出から公表までの日数を足すと、取引の日からおよそ5営業日のうちに表に出ることになります。私たちが見られるのは、会社のIRサイトです。

いくらから公表されるのか

第19条8項は、1暦年の合計が2万ユーロに達したあとの取引から公表の対象になると定めています。合計の計算では、買いと売りを差し引きせず、そのまま足し合わせます。

9項では、各国の監督当局がこの金額を1万ユーロまで下げるか、5万ユーロまで上げることができるとされています。どの国がいくらにしているかの一覧は、EUの証券市場の監督機関であるESMAが公表する決まりです。国ごとの現在の金額は、当サイトでは確認できていません。

なお、2014年に官報へ掲載された当初の条文では、この金額は5,000ユーロでした。当サイトが確認した統合版では2万ユーロに引き上げられています。古い解説には5,000ユーロと書かれているものがあるため、金額を確かめるときは日付にご注意ください。

役員の売買は、会社のIRサイトで追えます。気になる会社が取引できるかを、口座の画面で確かめられます。

欧州株1,800銘柄以上・9取引所に対応。特定口座は使えますが、NISAの対象外です。手数料は取引所ごとに最低額があり、少額の買付では負担率が上がります。

決算の前30日間は、役員は売買できない

第19条11項は、役員が自社株などを売買してはならない期間を定めています。期中の決算または通期の決算を発表する前の30日間です。この期間は「クローズド期間」と呼ばれます。

欧州の会社は、法律上は年2回の決算が義務で、四半期の発表は取引所や会社によります(欧州株の決算は年2回が基本の記事で説明しています)。決算の回数が違えば、役員が売買できない期間の入り方も変わることになります。

この決まりは、内部情報を使った取引そのものを禁じる第14条とは別に置かれています。「知っていて売買した」と証明しなくても、決算前の期間というだけで止められる形です。

実例:ジーメンスのページ

ドイツのジーメンスは、IRサイトに「Director’s dealings」というページを設けています。当サイトが確認した内容は、次のとおりです。

  • MARの第19条にもとづき、取締役会と監査役会の構成員、および近い関係にある人が、同社株などの取引をジーメンスとドイツの監督当局(BaFin)の両方へ届け出る義務があると説明されています
  • 届出のあった取引が、日付と氏名つきで一覧になっています。2026年3月27日(Jim Hagemann Snabe氏)、2025年12月10日(Matthias Rebellius氏)などです
  • 一覧は2016年7月3日から、それ以前はドイツの証券取引法にもとづく開示として続いていると書かれています

このように、探す場所は各社のIRサイトの「Director’s dealings」「Managers’ transactions」といったページです。同じ会社のページに、大株主の届出(大株主は何%から公表されるかの記事)も並んでいることが多くあります。

読むときに気をつけたいこと

  • 少額の売買は出てこない。1年の合計が2万ユーロ(国によっては1万〜5万ユーロ)に届くまでは、公表の対象になりません
  • 売買の理由は書かれていない。公表されるのは取引の事実です。報酬として受け取った株の扱いや、納税のための売却かどうかまでは分かりません
  • 決算の直前の売買は、そもそも起きにくい。クローズド期間があるためです。発表の直後に届出が集まることがあります
  • 役員が買ったことは、会社の将来を保証するものではありません。当サイトでは、役員の売買と株価の関係を調べていません

筆者はIBKRの口座で欧州株ETFを中心に保有しています。役員の売買の公表は、その会社を追いかけるときに読む材料の1つだと考えています。ただ、金額の下限があるうえ理由も書かれていないため、これだけで売買を決められる情報ではないと思います。

なお、会社が持つ内部情報そのものについては、第17条が「できるだけ早く公表する」ことを求めています。欧州株の開示の全体像は、情報開示ルールの早見表にまとめています。

まとめ

  • EUでは、役員と近い関係の人の自社株の売買が、名前つきで公表される
  • 対象は1年の合計が2万ユーロに達したあとの取引。国は1万〜5万ユーロの範囲で変えられる
  • 役員は3営業日以内に届け出、会社は受け取って2営業日以内に公表する
  • 決算の発表前30日間は、役員は自社株を売買できない
  • 探す場所は各社のIRサイト。理由までは書かれていない

確かめたい会社が見つかったら、口座開設の流れを先に見ておけます。

口座の種類と開設までの日数は当サイトの解説記事にまとめています。NISAは対象外です。

開示を確認した銘柄を実際に買う場合、取扱いのある証券会社は限られます。比較は欧州株が買えるネット証券を比較した記事をご覧ください。

この記事の検証方法

  • EUR-Lexに掲載の規則(EU)596/2014の統合版(2026年6月5日時点)の第3条・第14条・第17条・第19条を2026年9月21日に当サイトが確認しました
  • 5,000ユーロという当初の金額は、官報に掲載された2014年の条文で確認しました
  • ジーメンスの例は、同社のDirector’s dealingsのページで確認しました。個別の届出の中身までは確認していません
  • 国ごとの金額の一覧と、公表される項目の細目を定める規則は、当サイトでは確認できていません
  • 記載の内容は2026年9月21日時点のものです
  • 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています

この記事を書いた人:Kawa

ポルトガル在住30代の兼業投資家です。インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座で、欧州株ETFを中心に保有しています。ヨーロッパには、日本ではあまり知られていなくても、世界中で愛されている会社がたくさんあります。その面白さと、日本からの買い方を、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思って書いています。株価の見通しは、根拠と計算式を示して書きます。確認できていないことはそう書き、誤りがあれば訂正の経緯を記事に残して直します。詳しいプロフィール

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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載の内容は2026年9月21日に当サイトがEUの法令と会社の公式資料で確認したものにもとづいており、変更される場合があります。本記事は法務アドバイスではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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この記事を書いた人

ポルトガル在住30代の兼業投資家です。インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座で、欧州株ETFを中心に保有しています。ヨーロッパには、日本ではあまり知られていなくても、世界中で愛されている会社がたくさんあります。その面白さと、日本からの買い方を、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思って書いています。株価の見通しは、根拠と計算式を示して書きます。確認できていないことはそう書き、誤りがあれば訂正の経緯を記事に残して直します。

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