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この記事の結論
- ケリング株はSBI・楽天・マネックスでは買えない(上場はユーロネクスト・パリのみ)
- 現物を買うならサクソバンク証券が現実的(1株 約4万9,700円)
- 株価水準的に1株からでも手数料負担率は約0.81%に収まる
- 最大の注意点:NISA不可+フランスの配当源泉税(条約の限度税率10%)。2025年12月期は最終赤字、配当は2年で約79%減
GUCCI、サンローラン、ボッテガ・ヴェネタを傘下に持つフランスのラグジュアリー複合企業ケリング(Kering SA/ティッカー:KER)。2025年12月期は売上高が前期比13%減、最終損益は2900万ユーロの赤字に転落しました。主力ブランドGUCCIの不振が長期化した結果です。
この記事では株価・業績・買い方を解説します。LVMH、エルメス、リシュモン、モンクレールに続く、当サイトで扱う欧州ラグジュアリー株のひとつです。2026年上期は12四半期ぶりの増収に転換するなど反転の兆しも出ており、業績の実態を数字で確認していきます。
ケリング株の基本データ(2026年8月時点)
| 株価 | 270.60ユーロ(1株 約4万9,700円) |
| 52週レンジ | 209.20 〜 354.20ユーロ |
| 時価総額 | 約332億ユーロ |
| PER | 実績PER:算出不可(2025年12月期が最終赤字のため)/予想PER:約32.9倍 |
| 配当利回り | 約1.10%(税引き後は約0.79%) |
| 上場市場 | ユーロネクスト・パリ |
2025年12月期は最終赤字:グッチ不振が響く
ケリングの2025年12月期は、売上高147億ユーロ(前期比13%減、恒常為替ベースでも10%減)、基幹営業利益(recurring operating income)は16.3億ユーロで前期比33%減、営業利益率は14.5%から11.1%へ低下しました。最終損益は2900万ユーロの赤字で、前期の純利益10.2億ユーロから一転しての赤字転落です。
赤字転落の主因は主力ブランドGUCCIの長期低迷です。2024年12月期のGUCCI売上高はすでに前期比23%減の77億ユーロまで落ち込んでおり、2025年も不振が続きました。財務体質の悪化を受け、会社は美容事業(ケリング ビューテ)をロレアルへ40億ユーロで売却するなど資産の圧縮を進め、2025年末の純有利子負債は前期末から25億ユーロ減の80億ユーロとなりました。
2026年上期は増収転換、グッチの落ち込みも縮小
2026年上期(1〜6月期)の売上高は72.2億ユーロ、恒常為替ベースで前年同期比1%増と、増収に転じました。基幹営業利益は9.21億ユーロで前年同期の9.20億ユーロとほぼ横ばい、営業利益率は12.8%(前年同期比+0.4ポイント、2025年下期比+3.0ポイント)に改善しています。グループ純利益は1.89億ユーロでした。
特に第2四半期(4〜6月期)は比較ベースで売上高が2%増と、12四半期ぶりの増収となりました。主力のGUCCIも比較ベースの減収幅が第1四半期の8%減から第2四半期は2%減まで縮小し、レザーグッズ部門はプラスに転じています。GUCCI単体の上期売上高は27.57億ユーロ(比較ベースで5%減)、営業利益は4.68億ユーロ(3%減)で、営業利益率は1ポイント改善しました。
ただし中国本土の需要は依然弱く、会社は現地専任チームによるてこ入れ策を進めています。一方で日本は第2四半期の直営店売上高が9%増、韓国も好調に推移するなど、地域差が大きい状況です。
クリエイティブディレクター交代とグッチ再建の中身
GUCCIでは2025年、バレンシアガから移籍したデムナ・ヴァザリアがクリエイティブディレクターに就任し、2026年2月のミラノ・ファッションウィークで初のウィメンズコレクション「Primavera」を発表しました。前任アレッサンドロ・ミケーレ時代の10年続いたマキシマリズムから一転、構造的でミニマルな方向へ転換しています。新作の「Manhattan」スニーカーや刷新版「Gucci Bamboo 1947」バッグは2026年秋に店頭投入予定で、再建が実際の売上につながるかを占う試金石とされています。
サンローラン・ボッテガヴェネタ・ジュエリー・アイウェアは堅調
GUCCI以外のブランドは総じて堅調です。サンローランは北米・西欧での需要回復を受けて増収に転換、ボッテガ・ヴェネタはレザーグッズが牽引し全地域で成長が加速しました。ブシュロンやポメラートを含むジュエリー部門は上期売上5.21億ユーロで前年同期比20%増、ケリング アイウェア(サングラス・メガネ事業)も9.65億ユーロで同8%増と、GUCCI以外の事業ポートフォリオが業績を下支えしています。
新CEOルカ・デメオの再建計画「Rinascimento」
2026年に就任したルカ・デメオCEO(前ルノーCEO)のもとで、財務再建と事業改革を一体で進める「Rinascimento(再生)」計画が進行中です。就任からの半年間で純有利子負債を80億ユーロから33億ユーロへ、47億ユーロ圧縮しました。ケリング ビューテの売却完了(現金40億ユーロ)に加え、高級不動産の売却でも約15億ユーロを調達しています。会社は2025年12月期の連結営業利益率11.1%を中期的に2倍超へ引き上げる目標を掲げていますが、デメオCEOは「進展は着実だが、回復は一直線ではない」とも述べており、道半ばであることを認めています。
結論:ケリング株の買い方は実質2つ
| 方法 | 現物保有 | 必要資金の目安 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| ①サクソバンク証券で現物を買う | ◎ できる | 1株 約4万9,700円〜 | 長期で持ちたい人 |
| ②CFDで値幅を狙う | × できない | 数万円〜(レバレッジ) | 短期で売買したい人 |
なぜSBI・楽天・マネックスでは買えないのか
ケリングが上場しているのはユーロネクスト・パリです。米国預託証券「PPRUY」はOTC銘柄で、楽天証券はOTC市場の銘柄について「新規の買付けは受け付けておりません」と明記しています。
方法①:サクソバンク証券で現物を買う
2026年8月13日時点の株価は270.60ユーロ。ユーロ円レート(約183.8円)で換算すると1株あたり約4万9,700円です。ユーロネクスト・パリの手数料は0.088%(最低2.20ユーロ)で、1株270.60ユーロの0.088%は0.24ユーロと最低手数料を下回るため、実際には最低の2.20ユーロ(約404円)が適用されます。負担率は約0.81%に収まります。
- 52週レンジ:209.20ユーロ 〜 354.20ユーロ
- 時価総額:約332億ユーロ
ケリングは1株の値段が高く、1株だけ買っても手数料の負担率は約0.81%で済みます。実際の手数料と取扱いを、口座の画面で確かめられます。
欧州株1,800銘柄以上・9取引所に対応。特定口座あり、NISAは対象外です。配当には現地で源泉税がかかり、手取りは表面の利回りより下がります(本文参照)。
配当は2年で約79%減:業績連動の大幅減配が続く
ケリングの配当は業績悪化に伴い大きく減っています。2023年12月期の配当は合計14.00ユーロ(中間4.50ユーロ・期末9.50ユーロ)でしたが、2024年12月期は6.00ユーロ(前期比57%減)、2025年12月期は3.00ユーロ(前期比50%減)まで減配が続き、2年間で約79%の減配となりました。
現在の配当利回りは約1.10%。フランスの配当源泉税は日仏租税条約の限度税率10%、さらに日本側で現地源泉後の金額に20.315%が課税されるため、手取りベースの実質利回りは約0.79%程度まで下がります。詳しくは配当税の比較記事もご覧ください。
フランスが非居住者の配当に課す源泉税は原則12.8%(2026年1月1日時点)で、日仏租税条約の限度税率は10%です。条約の10%が源泉徴収の時点で自動的に適用されるかは、当サイトでは確認できていません。本記事の税引き後の数字は、限度税率10%が適用された場合の目安です。
買う前に知っておくべきこと
サクソバンク証券はNISAに対応していません。ユーロ建てなので為替の影響も受けます。フランス株の配当課税は限度税率10%とドイツ・スイスより有利ですが、ケリングは2025年12月期に最終赤字を計上したばかりの、業績再建途上の銘柄である点は踏まえておく必要があります。GUCCIの再建やデメオCEOの改革が計画通り進むかどうかが、今後の業績を左右します。
最新の株価チャートで水準を確認する
本記事の株価は2026年8月13日時点のものです。発注前に必ず最新の水準を確認してください。
※下のチャートは米国ADR(PPRUY・米ドル建て)です。パリ上場の原株とほぼ同じ値動きをしますが、表示通貨が異なります。
株価だけでなく、売上や利益、配当の推移も図で確かめたいときは、Simply Wall St という海外の分析サイトが使えます。欧州の上場企業も扱っていて、会社名で検索すると、その会社の財務の推移を一覧で見られます。サイトの画面は日本語にも対応しています。
無料プランでは、銘柄レポートを月5件まで見られます。登録から7日間は有料版の機能を試せます(クレジットカードの登録は不要)。当サイトはSimply Wall Stと提携しており、有料プランの申込みがあると紹介料を受け取ります。
よくある質問
なぜケリングの株価は下がっているのですか?
主力ブランドGUCCIの売上不振が2022年以降長期化し、2025年12月期は最終赤字(2900万ユーロ)に転落したことが背景です。52週レンジ(209.20〜354.20ユーロ)の下限に近い水準にあるのは、業績悪化と大幅減配(2年で約79%減)を市場が織り込んだ結果とみられます。ただし2026年上期は増収に転換するなど、下げ止まりの兆しも出ています。
グッチの再建は進んでいますか?
進み始めた段階です。比較ベースの減収幅は2026年第1四半期の8%減から第2四半期は2%減まで縮小し、レザーグッズ部門はプラスに転じました。2026年2月には新クリエイティブディレクター、デムナによる初のウィメンズコレクションも発表されています。ただし中国本土の需要はまだ弱く、新作商品の店頭投入は2026年秋以降のため、再建が本格的な増収につながるかはこれからの数字で判断する必要があります。
PERが算出できないのはなぜですか?
2025年12月期の最終損益が2900万ユーロの赤字だったためです。PERは株価を1株利益で割って算出しますが、分母がマイナスになるため実績PERという指標自体が意味を持ちません。市場予想利益をもとにした予想PERは約32.9倍です。ポルシェのように利益急減でPERが見かけ上跳ね上がるケースとは異なり、ケリングは赤字そのものが実績PERを無効にしている点に注意してください。
まとめ
- ケリングはユーロネクスト・パリ上場。米国ADR(PPRUY)はOTC銘柄で楽天証券は新規買付不可
- 現物を持つならサクソバンク証券が実質的な選択肢。1株約4万9,700円(手数料負担率約0.81%)
- 2025年12月期は売上高13%減、最終損益2900万ユーロの赤字に転落。主因はGUCCIの長期不振
- 2026年上期は比較ベースで増収に転換。GUCCIの減収幅もQ1の8%減からQ2は2%減まで縮小
- 配当は2023年の14.00ユーロから2025年は3.00ユーロへ約79%減配。利回りは約1.10%(実質約0.79%)
- 新CEOルカ・デメオの「Rinascimento」計画とデムナ体制でのGUCCI再建が今後の焦点。中国本土の需要回復はまだ道半ば
- NISAは使えない。業績再建途上のリスクを踏まえた判断が必要
| こんな人は | やり方 |
|---|---|
| 1株から買いたい | サクソバンク証券で現物 |
| NISAの非課税で持ちたい | IB証券という選択肢もある(比較記事へ) |
| 短期の値動きだけ取りたい | CFD(現物保有はできない) |
特定口座で確定申告の手間を減らしながら、日本語の画面で欧州株を持つ。その入口です。NISAを優先したい方には、IB証券という選択肢もあります。
口座の種類と開設までの日数は当サイトの解説記事にまとめています。NISAは対象外です。
この記事の検証方法
- 手数料はサクソバンク証券の公式手数料表から計算しています
- 株価・為替レートは本文記載の基準日に実測した値です
- 業績・配当は企業の公式IR資料(一次資料)のみを出典としています
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事の銘柄を保有しているとは限りません)
この記事を書いた人:Kawa
ポルトガル在住30代の兼業投資家です。インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座で、欧州株ETFを中心に保有しています。ヨーロッパには、日本ではあまり知られていなくても、世界中で愛されている会社がたくさんあります。その面白さと、日本からの買い方を、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思って書いています。株価の見通しは、根拠と計算式を示して書きます。確認できていないことはそう書き、誤りがあれば訂正の経緯を記事に残して直します。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載の株価・為替レート・手数料・税制は2026年8月14日時点で確認した情報に基づいており、変更される場合があります。業績数値はケリング社の公表資料に基づきます。実際の取引条件および税務の取扱いは、各証券会社の公式サイトおよび税務専門家にご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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