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この記事の結論
- EUの株の呼値(注文できる値段の刻み)は、EUの規則にある1枚の表で決まります。取引所ごとにばらばらではありません
- 刻みを決めるのは、株価の水準と、その株の1日あたりの平均の取引件数の2つです。よく取引される株ほど刻みは細かくなります
- たとえば株価150ユーロの株は、取引の多い銘柄なら刻みは0.02ユーロ、取引の少ない銘柄なら1ユーロです
- 指値注文は、この刻みに合った値段で出す必要があります。同じ株価でも、銘柄によって出せる値段が違う点にご注意ください
欧州株に指値注文を出すとき、「この値段では注文できません」と表示されて戸惑うことがあります。原因の多くは、値段が呼値(ティックサイズ)の刻みに合っていないことです。
EUでは、この刻みが法令の表で細かく決まっています。この記事では、EUの規則の原文をもとに、表の読み方と、指値注文への影響を整理します。
呼値はEUの規則で決まっている
根拠は、2016年7月14日の欧州委員会の委任規則(EU)2017/588です。EUの金融商品市場指令(MiFID II)を補う技術的な基準で、株、預託証券、一部のETFが対象です。規則の前文は、ねらいを次のように説明しています。
- 市場が秩序を保って働くようにするため
- とくに、刻みが際限なく細かくなっていくことと、それが市場の秩序に与える影響を抑えるため
規則の第2条は、取引の場に対して、表に示された刻みと同じか、それより大きい刻みを使うよう求めています。つまり表の数字は、これ以上は細かくできないという下限です。
表の読み方:株価と取引件数で決まる
表は、縦に株価の範囲、横に「1日あたりの平均の取引件数」の6つの区分が並んでいます。個人投資家がよく見る株価の範囲を抜き出しました。単位は、その株が取引されている通貨です。
| 株価の範囲 | 10件未満 | 10〜80件 | 80〜600件 | 600〜2,000件 | 2,000〜9,000件 | 9,000件以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 5以上10未満 | 0.05 | 0.02 | 0.01 | 0.005 | 0.002 | 0.001 |
| 10以上20未満 | 0.1 | 0.05 | 0.02 | 0.01 | 0.005 | 0.002 |
| 20以上50未満 | 0.2 | 0.1 | 0.05 | 0.02 | 0.01 | 0.005 |
| 50以上100未満 | 0.5 | 0.2 | 0.1 | 0.05 | 0.02 | 0.01 |
| 100以上200未満 | 1 | 0.5 | 0.2 | 0.1 | 0.05 | 0.02 |
| 200以上500未満 | 2 | 1 | 0.5 | 0.2 | 0.1 | 0.05 |
| 500以上1,000未満 | 5 | 2 | 1 | 0.5 | 0.2 | 0.1 |
表全体は、株価0.1未満から5万以上まで19段階あります。読み方のポイントは2つです。
- 株価が高いほど、刻みは大きい。右端の列で見ると、株価5〜10の株は0.001刻み、株価500〜1,000の株は0.1刻みです
- 取引が多いほど、刻みは細かい。株価100〜200の株でも、1日9,000件以上取引される銘柄は0.02刻み、10件未満の銘柄は1刻みです。50倍の差があります
取引件数は、その株にとって取引が最も多い市場での数字を使います。規則の第3条によると、各国の監督当局が毎年3月1日までに計算して公表します。このため、同じ銘柄でも、年が変わると刻みが変わることがあります。
ETFは扱いが少し違います。中身が対象の株だけでできているETFには、取引件数にかかわらず、右端の列(最も細かい刻み)が使われます。
指値注文が通らないときは、値段の刻みを見直します。取引の少ない銘柄は刻みが大きいので、取扱いと手数料とあわせて口座の画面で確かめられます。
欧州株1,800銘柄以上・9取引所に対応。特定口座は使えますが、NISAの対象外です。手数料は取引所ごとに最低額があり、少額の買付では負担率が上がります。
指値注文への影響
具体例で考えます。株価が152ユーロ前後の株に、指値で買い注文を出すとします。
| 銘柄の取引件数 | 刻み | 出せる指値の例 | 出せない指値の例 |
|---|---|---|---|
| 1日9,000件以上(大型株) | 0.02ユーロ | 151.98、152.00、152.02 | 152.01、152.05 |
| 1日80〜600件(中小型株) | 0.2ユーロ | 151.80、152.00、152.20 | 152.10、152.50 |
取引の少ない銘柄では、刻みが大きいぶん、買いたい値段と売りたい値段の差も開きやすくなります。152ユーロの株で0.2ユーロの刻みは、株価の約0.13%にあたります。手数料とは別に、この差も売買のコストになると考えています。
刻みに合わない値段を入力したとき、証券会社の画面が自動で丸めるのか、注文を受け付けないのかは、証券会社によって違います。サクソバンク証券での動きは、当サイトでは確認できていません。注文が通らないときは、まず値段の刻みを見直してみてください。
当サイトで確認できていないこと
- イギリスとスイス。イギリスはEUを離脱しており、スイスはEUの加盟国ではありません。ロンドン証券取引所とSIXスイス取引所が現在どの刻みを使っているかは、当サイトでは確認できていません
- 個別の銘柄の区分。各銘柄がどの取引件数の区分に入っているかは、監督当局の公表データによります。当サイトでは銘柄ごとの確認はしていません
取引所ごとの取引時間や注文の仕組みは、欧州9取引所を運営する5つの会社の記事から、それぞれの取引所の記事へ進めます。
まとめ
- EUの株の呼値は、委任規則(EU)2017/588の1枚の表で下限が決まっている
- 決め手は株価の水準と1日あたりの平均の取引件数。取引の多い株ほど細かい
- 株価100〜200の株で、刻みは0.02(取引の多い銘柄)から1(取引の少ない銘柄)まで開く
- 取引件数の区分は毎年見直されるため、同じ銘柄でも刻みが変わることがある
- 指値は刻みに合った値段で出す。取引の少ない銘柄は、刻みの大きさも売買のコストになる
確かめたい銘柄が見つかったら、口座開設の流れを先に見ておけます。
口座の種類と開設までの日数は当サイトの解説記事にまとめています。NISAは対象外です。
呼値を確認して注文を出す前に、どの証券会社で買うかを決めたい方は欧州株が買えるネット証券を比較した記事をご覧ください。
この記事の検証方法
- 呼値の決まりと表は、EUR-Lexに掲載の委任規則(EU)2017/588(2016年7月14日)の前文(1)、第2条、第3条、付属書を2026年9月19日に当サイトが確認しました
- あわせて、改正を反映した統合版(2023年6月5日時点)も確認し、表の数字と第2条・第3条の内容が変わっていないことを確かめました
- 指値の例は、表の数字をもとに当サイトが作ったものです
- 記載の内容は2026年9月19日時点のものです
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています
この記事を書いた人:Kawa
ポルトガル在住30代の兼業投資家です。インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座で、欧州株ETFを中心に保有しています。ヨーロッパには、日本ではあまり知られていなくても、世界中で愛されている会社がたくさんあります。その面白さと、日本からの買い方を、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思って書いています。株価の見通しは、根拠と計算式を示して書きます。確認できていないことはそう書き、誤りがあれば訂正の経緯を記事に残して直します。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載の内容は2026年9月19日に当サイトがEUの法令で確認したものにもとづいており、変更される場合があります。実際に注文できる値段は、取引の場と証券会社の仕様によります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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