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スイス株にも源泉税35%がかからない配当がある|資本準備金からの支払い【2026年】

スイス株にも源泉税35%がかからない配当がある|資本準備金からの支払い【2026年】

※本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれます。

この記事の結論

  • スイス株の配当には原則35%の源泉税がかかりますが、資本準備金から払われる分は、スイスの法律で源泉税の対象外です
  • 2026年の実例では、UBSは配当の半分、サンライズ・コミュニケーションズは全額がこの形で、源泉税がかかりませんでした
  • スイスの取引所に上場する会社は、原則として資本準備金と同額以上を利益からも配当する決まりがあるため、「半分だけ非課税」という形が多くなります
  • この支払いが日本の税金でどう扱われるかは、当サイトでは確認できていません。お取引の証券会社や税務署にご確認ください

スイス株の配当は税金が重い、というのは欧州株を調べると最初に出てくる話です。当サイトの配当税を9か国で比較した記事でも、スイスの35%は9か国で最も重い数字でした。

ただ、スイスの会社の配当発表を読んでいくと、「この配当にはスイスの源泉税がかかりません」と書かれているものがあります。これは会社が特別に優遇されているわけではなく、スイスの源泉税法に定められた仕組みです。この記事では、その仕組みを条文で確認し、2026年に実際にあった例と、自分で見分ける方法を整理します。

先にお断りしておくと、本記事は制度の一般的な説明であり、税務アドバイスではありません。記載の内容は2026年9月15日に当サイトが一次資料で確認したものです。実際の課税関係は、お取引の証券会社や税理士、税務署にご確認ください。

目次

なぜ源泉税がかからないのか——「資本の払戻し」と同じ扱い

スイスの源泉税法(Verrechnungssteuergesetz)は、第13条で資本所得への税率を35%と定めています。配当はこの資本所得にあたります。

一方で、同じ法律の第5条には例外があります。会社が株主に払う「資本準備金」の払戻しは、資本金を払い戻すのと同じ扱いとされ、源泉税の対象になりません。資本準備金とは、株主が会社に払い込んだお金のうち、資本金に入れずに積み立てた部分です。たとえば会社が株を額面より高く発行したときの上乗せ分がこれにあたります。

考え方としては、会社が稼いだ利益を分けるのではなく、株主が出したお金を返しているので、所得として課税しない、というものです。条文上の条件は次の2つです。

  • 1996年12月31日より後に株主が払い込んだものであること
  • 会社の帳簿で別の勘定に分けて計上し、その増減をすべて連邦税務庁(ESTV)に届け出ていること

上場会社は「半分まで」が原則——2020年からの決まり

ここで上場会社には追加の決まりがあります。2020年1月1日に施行された税制改革で、第5条に次の項が加わりました。

スイスの取引所に上場している会社は、資本準備金を払い戻すとき、少なくとも同じ額を利益などのその他の準備金から配当しなければならない。守らなかった場合は、差額の半分が源泉税の対象になります。

つまり上場会社では、配当のうち資本準備金から出せるのは原則として半分までです。残りの半分以上は利益から払われ、そちらには35%がかかります。配当全体で見ると、源泉税はおおむね17.5%になる計算です。

ただし、この「半分まで」の決まりには例外があります。条文では、国外から持ち込まれた資本準備金(2008年2月24日以降に国外の会社を取り込んだり、本拠を国外から移したりしてできたもの)などには適用しないとされています。この場合は、配当の全額を資本準備金から払うことができます。

2026年の実例——半分の会社、全額の会社、対象外の会社

各社の公式発表で、2025年度分の配当(2026年に支払い)がどの準備金から払われたかを確認しました。

会社1株あたりの配当払われた準備金スイスの源泉税
UBSグループ1.10米ドル(税引前)半分を利益から、残り半分を資本準備金から利益から払う部分だけ35%
サンライズ・コミュニケーションズA株3.42スイスフラン全額を国外からの資本準備金からかからない
スイス再保険8.00米ドル任意の利益準備金から通常どおりの扱い(資本準備金からではない)
リシュモン(2025年総会)A株3.00スイスフラン利益剰余金から35%(発表に明記)
UBS「Distribution of a dividend out of total profit and capital contribution reserve」(2026年4月15日)、サンライズの米国証券取引委員会への提出書類(Form 6-K、2026年5月)、スイス再保険の2026年総会結果の発表、リシュモンの2025年総会結果の発表を2026年9月15日に当サイトが確認

UBSは、上場会社の「半分まで」の決まりどおりの形です。サンライズは、発表の中で「国外からの資本準備金」から払うため全額に源泉税がかからないと説明しています。先ほどの「半分まで」の例外にあたる形だと考えられます。

配当を100としたとき、スイスで差し引かれたあとに残る額は次のようになります。

払い方配当全体に対するスイスの源泉税スイスで引かれたあとの額
全額を利益から(通常のスイス株)35%65
半分を資本準備金から(UBS型)17.5%82.5
全額を資本準備金から(サンライズ型)0%100
日本側での課税は含めていません。その扱いは次の節の注意点をご覧ください

通常のスイス株では、日本との条約の上限10%を超える25%分を取り戻すには、スイスの税務当局への還付請求が必要でした。資本準備金から払われる分には、そもそも源泉税がかからないので、その手続きも要りません。

源泉税がかからない配当があるかどうかは、会社の発表で確かめられます。持ちたいスイス株が取引できるかを、先に見ておけます。

欧州株1,800銘柄以上・9取引所に対応。特定口座は使えますが、NISAの対象外です。手数料は取引所ごとに最低額があり、少額の買付では負担率が上がります。

日本の税金でどう扱われるかは、確認できていません

ここは大事な注意点です。スイスでは「資本の払戻し」として源泉税がかからない支払いですが、日本の税法で同じように扱われるのか、通常の配当として扱われるのかは、当サイトでは確認できていません。

日本では、株主が受け取るお金が「資本の払戻し」にあたる場合、配当とは別の計算になることがあります。どちらになるかで、課税の仕方や、あとで株を売ったときの計算が変わる可能性があります。スイス側の非課税だけを見て「税金が安い」と判断せず、受け取ったあとの明細の扱いを、お取引の証券会社に確認することをおすすめします。サクソバンク証券の明細でこの支払いがどう表示されるかも、当サイトでは確認できていません。

自分で見分ける方法

どの会社がどの準備金から払うかは、毎年の株主総会で決まります。去年が資本準備金からだったから今年も同じ、とは限りません。確認するには、会社の発表で次の言葉を探すのが確実です。

  • 英語:「capital contribution reserves」「not subject to Swiss withholding tax」
  • ドイツ語:「Kapitaleinlagereserven」「verrechnungssteuerfrei」
  • フランス語:「réserves issues d’apports de capital」「exonéré de l’impôt anticipé」

探す場所は、株主総会の招集通知(議案の「利益処分」や「配当」の項目)と、総会後の結果の発表です。反対に「subject to Swiss withholding tax of 35%」と書かれていれば、通常どおり35%がかかります。

この仕組みをどう考えるか

ここからは筆者の考えです。スイス株の配当税の重さは本当ですが、「スイス株は必ず35%引かれる」と覚えてしまうと、会社ごとの違いを見落とすと思います。同じスイス株でも、発表を1つ読むだけで、手元に残る額の見込みが大きく変わる場合があるからです。

一方で、資本準備金は会社が株主から集めたお金なので、いつまでも払い続けられるものではありません。残高がなくなれば、通常の配当に戻ります。この仕組みを理由に銘柄を選ぶより、選んだ会社の配当が今年どちらの形で払われるかを確かめる、という使い方が現実的だと思います。

筆者自身はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています。個別株を見るときは、配当の額だけでなく発表の中の税金の一文まで読むようにしています。

まとめ

  • スイス株の配当は原則35%の源泉税。ただし資本準備金からの支払いは法律で対象外(源泉税法第5条)
  • 上場会社は原則として資本準備金と同額以上を利益からも配当する決まりがあり、「半分だけ非課税」の形になりやすい
  • 2026年の例では、UBSが半分、サンライズが全額を資本準備金から支払った。スイス再保険とリシュモンは利益からの支払い
  • どちらになるかは毎年の総会で決まる。招集通知と総会結果の発表で確認する
  • 日本の税金での扱いは確認できていない。証券会社や税務署に確認する

確かめたい銘柄が見つかったら、口座開設の流れを先に見ておけます。

口座の種類と開設までの日数は当サイトの解説記事にまとめています。NISAは対象外です。

この記事の検証方法

  • 税率と資本準備金の扱いは、スイス連邦の源泉税法(Verrechnungssteuergesetz、SR 642.21)の第5条第1bis項〜第1quater項と第13条を、連邦法令集Fedlexの2025年1月1日現在の条文で2026年9月15日に当サイトが確認しました
  • UBSの配当は、同社の株主総会資料「Distribution of a dividend out of total profit and capital contribution reserve」(2026年4月15日)で確認しました
  • サンライズ・コミュニケーションズの配当は、米国証券取引委員会に提出されたForm 6-Kの添付資料(2026年5月)で確認しました
  • スイス再保険の配当は同社の2026年株主総会結果の発表、リシュモンの配当は同社の2025年株主総会結果の発表で確認しました
  • この支払いの日本での税務上の扱い、サクソバンク証券の明細での表示、各社の資本準備金の残高は、当サイトでは確認できていません
  • 本記事は制度の一般的な説明であり、税務アドバイスではありません。実際の課税関係は、税理士や税務署、お取引の証券会社にご確認ください
  • 記載の内容は2026年9月15日時点のものです。各社の配当の払い方は毎年の株主総会で決まるため、必ず最新の発表をご確認ください
  • 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています(本記事の銘柄を保有しているとは限りません)

この記事を書いた人:Kawa

ポルトガル在住30代の兼業投資家です。インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座で、欧州株ETFを中心に保有しています。ヨーロッパには、日本ではあまり知られていなくても、世界中で愛されている会社がたくさんあります。その面白さと、日本からの買い方を、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思って書いています。株価の見通しは、根拠と計算式を示して書きます。確認できていないことはそう書き、誤りがあれば訂正の経緯を記事に残して直します。詳しいプロフィール

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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。本記事は制度の一般的な説明であり、税務アドバイスではありません。記載の法令・税率・各社の配当の払い方は2026年9月15日に当サイトが一次資料で確認した内容にもとづいており、法改正や各社の決定により変わる場合があります。日本での課税関係は、口座の種類・証券会社の取扱い・個々の状況により異なります。個別の判断については、税理士や税務署、お取引の証券会社に必ずご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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この記事を書いた人

ポルトガル在住30代の兼業投資家です。インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座で、欧州株ETFを中心に保有しています。ヨーロッパには、日本ではあまり知られていなくても、世界中で愛されている会社がたくさんあります。その面白さと、日本からの買い方を、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思って書いています。株価の見通しは、根拠と計算式を示して書きます。確認できていないことはそう書き、誤りがあれば訂正の経緯を記事に残して直します。

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