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この記事の結論
- 米国株の配当にかかる米国の税金は、日本との租税条約で10%です(米国税務当局の条約税率表)。条約がなければ原則30%です
- 欧州は国ごとに違います。イギリスは米国より軽く(通常の配当に源泉徴収なし)、それ以外の8か国は米国より重いという結果でした
- 米国株は、引かれる率と条約の上限が同じ10%なので、条約を超えて戻らない分がありません。欧州では、スイス25%、スウェーデン20%、スペイン14%などの差が出ます
- 配当の手取りだけを比べると米国株が有利な国が多いですが、税金は銘柄を選ぶ理由の1つにすぎないと思います
米国株に投資している方にとって、「配当から米国で10%引かれる」のはおなじみだと思います。では、欧州株に手を広げると、配当の税金は重くなるのでしょうか、軽くなるのでしょうか。
この記事では、米国の税務当局(IRS)の資料で米国の税率を確認し、当サイトが各国の税務当局の資料で調べた欧州9か国の税率と並べて比べます。
米国株の配当:原則30%、日本との条約で10%
IRSの説明では、米国外の人が受け取る米国源泉の所得には、原則として30%の税金がかかり、支払いの時点で差し引かれます。租税条約がある国の居住者には、これより低い率が適用されることがあります。
IRSが公表している条約税率の一覧表(Table 1、2023年5月改訂)では、日本の欄の米国企業が払う一般の配当の税率は10%です。日本の証券会社で米国株を持っている方が「配当から10%引かれている」のは、この条約の税率です。
米国と欧州9か国を並べる
| 国 | 現地で引かれる税金(原則) | 日本との条約の限度税率 | 条約を超えて戻らない分 | 配当100の手取りの目安 |
|---|---|---|---|---|
| イギリス | なし(通常の配当) | — | なし | 約79.7 |
| 米国 | 10%(条約の税率) | 10% | なし | 約71.7 |
| フランス | 12.8% | 10% | 2.8% | 約69.5 |
| オランダ | 15% | 10% | 5% | 約67.7 |
| スペイン | 19% | 5% | 14% | 約64.5 |
| イタリア | 26% | 15% | 11% | 約59.0 |
| ドイツ | 26.375% | 15% | 11.375% | 約58.7 |
| デンマーク | 27% | 15% | 12% | 約58.2 |
| スウェーデン | 30% | 10% | 20% | 約55.8 |
| スイス | 35% | 10% | 25% | 約51.8 |
配当の手取りだけで並べると、イギリス、米国、フランス、オランダの順になりました。米国より軽いのはイギリスだけです。ドイツ・イタリア・デンマークは米国の2.5倍以上、スイスは3.5倍の税金が現地で引かれます。
なお、欧州の国では、条約の限度税率が源泉徴収の時点で適用されるかどうかを、当サイトでは確認できていません。表の「現地で引かれる税金」は、各国の原則の率です。国ごとの詳しい説明は配当税を9か国で比べた記事にまとめています。
米国株の配当税10%と、欧州各国の税金を比べたうえで、欧州の取扱銘柄を見ておけます。
欧州株1,800銘柄以上・9取引所に対応。特定口座は使えますが、NISAの対象外です。手数料は取引所ごとに最低額があり、少額の買付では負担率が上がります。
大きな違いは「戻らない分」があるかどうか
日本の確定申告で外国税額控除を使うと、外国で引かれた税金の一部を取り戻せます。ただし、対象になるのは条約の限度税率までです。
米国株は、引かれる率も条約の上限も10%なので、引かれた分がそのまま控除の対象になります。欧州では、原則の率が条約の上限より高い国が多く、その差は日本の手続きでは戻りません。スイスなら25%、スウェーデンなら20%、スペインなら14%です。この差を取り戻すには、現地の税務当局に請求する必要があります。手続きはドイツ・スイス・フランスの還付の記事とスペイン・イタリア・デンマークの還付の記事で扱っています。
米国株に慣れている方が欧州株を始めるときに、いちばん感覚が違うのはこの点だと思います。確定申告の考え方は確定申告と外国税額控除の記事をご覧ください。
例外も知っておく
- スイスでも源泉税がかからない配当がある:会社が資本準備金から払う配当には、35%の税がかかりません(資本準備金からの配当の記事)
- イギリスでも20%引かれる配当がある:不動産投資信託(REIT)が賃貸事業の利益から払う配当です(イギリスのREITの配当の記事)
- 税金は上場している国ではなく、会社の国で決まる:パリ上場のエアバスはオランダの会社で、税率は15%です(ISINの見方の記事)
ここからは筆者の考えです。筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています。
配当の税金だけを見れば、米国株のほうが有利な国が多いのは事実です。それでも欧州株を持つ意味は、米国とは違う業種・違う通貨・違う値段の付き方に資産を分けられることにあると思います。税金の重さが気になる方は、イギリス・フランス・オランダの会社や、配当より値上がりに期待する会社から始めるのも1つの方法だと思います。米国株との違いの全体像は米国株と欧州株を比べた記事にまとめています。
まとめ
- 米国株の配当の税金は、日本との条約で10%。条約がなければ原則30%
- 欧州9か国では、イギリスだけが米国より軽い。フランス12.8%、オランダ15%が続き、スイスの35%が最も重い
- 米国株には、条約を超えて戻らない分がない。欧州はスイス25%・スウェーデン20%・スペイン14%などの差が出る
- スイスの資本準備金からの配当、イギリスのREIT、会社の国の違いなど、例外もある
比べ終わったら、口座開設の流れを先に見ておけます。
口座の種類と開設までの日数は当サイトの解説記事にまとめています。NISAは対象外です。
この記事の検証方法
- 米国の原則30%は、IRSのNRA withholdingのページ(2026年3月14日更新)を2026年9月19日に当サイトが確認しました
- 日本の居住者への配当の税率10%は、IRSのTax Treaty TablesのTable 1(2023年5月改訂)によります
- 欧州9か国の税率と条約の限度税率は、当サイトの配当税の記事で各国税務当局と財務省の資料から確認した内容です
- 手取りの目安と倍率は当サイトの計算です。外国税額控除や現地での還付を使わない場合の数字です
- 欧州の各国で、条約の限度税率が源泉徴収の時点で適用されるかは、当サイトでは確認できていません
- 本記事は制度の一般的な説明であり、税務アドバイスではありません。記載の内容は2026年9月19日時点のものです
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています
この記事を書いた人:Kawa
ポルトガル在住30代の兼業投資家です。インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座で、欧州株ETFを中心に保有しています。ヨーロッパには、日本ではあまり知られていなくても、世界中で愛されている会社がたくさんあります。その面白さと、日本からの買い方を、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思って書いています。株価の見通しは、根拠と計算式を示して書きます。確認できていないことはそう書き、誤りがあれば訂正の経緯を記事に残して直します。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。本記事は制度の一般的な説明であり、税務アドバイスではありません。記載の税率は2026年9月19日に当サイトが各国の公式資料で確認した内容にもとづいており、制度の変更により変わる場合があります。実際に差し引かれる税額は、お取引の証券会社の扱いによって変わります。個別の申告については税理士や税務署にご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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