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この記事の結論
- 欧州では、同じ会社が種類の違う株を2つ上場させていることがあります。国ごとに仕組みが違い、ドイツは優先株、北欧はA株・B株、スイスは参加証券です
- 違いの中心は議決権です。配当は「同じ」か「議決権のないほうが少し多い」かのどちらかで、大きな差が付く例は当サイトでは確認していません
- フランスには、株の種類ではなく持ち方(記名式で2年以上)で配当が10%増える仕組みがあります
- 種類が違えばコードもISINも別です。注文の前に、コードで種類を確かめるのが確実だと思います
日本株では、1つの会社に上場している株は1種類というのが普通です。欧州ではそうとは限りません。フォルクスワーゲンには普通株と優先株があり、ボルボにはA株とB株があり、ロシュには株と参加証券があります。
この記事は、当サイトが国ごとに調べてきた「株の種類」の記事への入口です。細かい数字は各記事に任せ、ここでは全体の見取り図をまとめます。
国別の早見表
| 国 | 仕組み | 議決権 | 配当 | 会社の例 |
|---|---|---|---|---|
| ドイツ | 優先株(Vorzugsaktie) | 優先株にはなし | 優先株が数セント多い | フォルクスワーゲン、ヘンケル |
| スウェーデン | A株・B株 | A株1票、B株10分の1票(法律で差は10倍まで) | 同じ(インベスター、ボルボの説明) | インベスター、ボルボ、エリクソン |
| デンマーク | A株・B株 | 会社ごとに違う。マースクのB株は議決権なし | 種類別の条件は当サイトでは未確認 | マースク、ノボ・ノルディスク |
| スイス | 参加証券(Partizipationsschein) | 参加証券にはなし | 法律で株主より不利に扱えない。シンドラーは同額 | ロシュ、リンツ、シンドラー |
| フランス | ロイヤルティ配当(株の種類ではなく持ち方) | — | 記名式で2暦年以上の保有で10%増 | ロレアル、エア・リキード、エンジー |
国ごとのポイント
ドイツ:議決権がない代わりに、配当が少し多い
ドイツの優先株は、議決権がない代わりに、普通株より配当が少し多い株です。2025年度の差は、フォルクスワーゲンが0.06ユーロ、ヘンケルが0.02ユーロでした。フォルクスワーゲンとヘンケルは、市場でよく取引されているのが優先株のほうです。BMWは2026年6月30日に、優先株をすべて普通株へ転換しました。詳しくはドイツ株の優先株の記事をご覧ください。
北欧:A株とB株で、議決権の重さが違う
スウェーデンの会社法は、議決権の差を10倍までと定めています。エリクソンでは、株数の7.8%にあたるA株が議決権の45.7%を占めています。デンマークは会社ごとに設計が違い、ノボ・ノルディスクのA株は上場しておらず、取引所で買えるのはB株だけです。マースクはA株・B株とも上場していますが、B株には議決権がありません。詳しくは北欧株のA株・B株の記事にまとめました。
スイス:議決権のない「参加証券」
スイスの参加証券は、債務法で定められた議決権のない証券です。利益の配分では、株主より不利に扱ってはならないと決まっています。ロシュは2026年3月17日に、それまでの無議決権証券(コードROG)を参加証券(コードROP)へ1対1で交換し、ISINも変わりました。リンツは記名株が1株1,000万円を超える水準のため、個人には参加証券が現実的な選択肢になります。詳しくはスイス株の参加証券の記事をご覧ください。
フランス:長く持つと配当が増える
フランスの一部の会社には、株を記名式で2暦年以上持ち続けると配当が10%増える仕組みがあります。株の種類が分かれているわけではなく、同じ株でも持ち方で配当が変わる点が、ほかの国との違いです。日本の証券会社を通じて持つ株を記名式にできるかは、当サイトでは確認できていません。詳しくはフランス株の配当が10%増える仕組みの記事で説明しています。
同じ会社に2つのコードがあるとき、どちらの種類が取引できるのか。注文の前に、口座の画面で銘柄名とコードを見比べる方法があります。
サクソバンク証券が各社のどの種類を取り扱っているかは、当サイトでは確認できていません。欧州株1,800銘柄以上・9取引所に対応。NISAは対象外です。
なぜ株の種類を分けるのか
仕組みは国ごとに違いますが、会社の側のねらいは共通していると思います。創業家や財団が議決権を保ったまま、市場から資金を集めることです。当サイトが各社の資料で確認した例を挙げます。
- ノボ・ノルディスク:財団側の持ち分は資本の約28%、議決権では約77%(2024年11月8日時点の公表値から当サイトが計算)
- シンドラー:創業家側が議決権の68.6%を保有(2023年末)
- エリクソン:株数の7.8%のA株が、議決権の45.7%を占める(2025年5月30日時点)
個人投資家にとっては、買収されにくく、長い目で経営しやすいという見方もできます。反対に、少数の株主の意向で方針が決まり、ほかの株主の声が届きにくいという見方もできます。どちらの面が強く出るかは会社によって違うと思います。
注文の前に確かめたい3つのこと
- コードとISINで、種類を確かめる。コードは1文字違いのことが多く、取り違えに気づきにくいためです。ロシュのように、途中でコードが変わることもあります
- 取引の量を見比べる。市場でよく取引されているのが、議決権のあるほうとは限りません。フォルクスワーゲンは優先株のほうがよく取引されており、ノボ・ノルディスクはB株しか上場していません
- 配当の条件を、会社のIR資料で確かめる。当サイトでは、データ上は2種類の配当が違って見えたものの、会社の公式ページでは同額だった例(シンドラー)がありました
筆者はIBKRの口座で欧州株ETFを中心に保有しています。ETFであれば、どの種類の株を組み入れるかは運用会社が決めるため、この点を気にせずに済みます。個別株を買うときにだけ必要になる確認だと考えています。
なお、サクソバンク証券が各社のどの種類を取り扱っているかは、当サイトでは確認できていません。口座の取引画面でご確認ください。会社の国や税金など、ほかの確認点は欧州株を買う前に確認したい7つの制度にまとめています。
まとめ
- ドイツは優先株(議決権なし、配当が数セント多い)
- 北欧はA株・B株(スウェーデンは法律で議決権の差が10倍まで。デンマークは会社ごとに違う)
- スイスは参加証券(議決権なし、利益の配分は株主と同等)。ロシュは2026年3月にROGからROPへ
- フランスは、種類ではなく持ち方で配当が10%増える仕組み
- 注文の前に、コード・取引の量・配当の条件を確かめる
コード、取引の量、配当の条件。この3つを確かめる習慣がつけば、種類の違う株でも取り違えを減らせます。最初の1銘柄は、口座の画面で確かめるところから始められます。
口座の種類と開設までの日数は当サイトの解説記事にまとめています。NISAは対象外です。
この記事の検証方法
- この記事の数字と制度は、当サイトの4本の記事(ドイツの優先株、北欧のA株・B株、スイスの参加証券、フランスのロイヤルティ配当)で、各社の公式資料と各国の法令をもとに確認した内容です。出典と確認日は各記事に記載しています
- スウェーデンの議決権の差の上限は株式会社法(2005:551)第4章第5条、スイスの参加証券は債務法 第656a条〜第656f条によります
- 「なぜ株の種類を分けるのか」の節は、確認した事実をもとにした筆者の見方です
- 記載の内容は2026年9月19日時点のものです
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています
この記事を書いた人:Kawa
ポルトガル在住30代の兼業投資家です。インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座で、欧州株ETFを中心に保有しています。ヨーロッパには、日本ではあまり知られていなくても、世界中で愛されている会社がたくさんあります。その面白さと、日本からの買い方を、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思って書いています。株価の見通しは、根拠と計算式を示して書きます。確認できていないことはそう書き、誤りがあれば訂正の経緯を記事に残して直します。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載の内容は2026年9月19日時点で当サイトが各社の公式資料と法令で確認したものにもとづいており、変更される場合があります。最新の内容は、各社の発表や証券会社の案内で必ずご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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