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この記事の結論
- ドイツの優先株(Vorzugsaktie)は、議決権がない代わりに、普通株より配当が少し多い株です
- 2025年度の配当の差は、フォルクスワーゲンが0.06ユーロ、ヘンケルとBMWが0.02ユーロでした。差は数セントで、利回りへの影響はごくわずかです
- BMWは2026年6月30日に、優先株をすべて普通株に1対1で転換しました。優先株の取引は同日で終わっています
- フォルクスワーゲンとヘンケルは、市場でよく取引されているのが優先株のほうです。買うときは、どちらの種類かを銘柄名で確認する必要があります
ドイツ株を調べていると、同じ会社なのに銘柄が2つ出てくることがあります。フォルクスワーゲンなら「VOW」と「VOW3」、ヘンケルなら「HEN」と「HEN3」です。これは普通株と優先株の違いです。
この記事では、フォルクスワーゲン・BMW・ヘンケルの公式発表をもとに、2種類の株の違いと、BMWが2026年に優先株をなくした経緯を整理します。
普通株と優先株の違い
| 項目 | 普通株(Stammaktie) | 優先株(Vorzugsaktie) |
|---|---|---|
| 株主総会の議決権 | あり | なし |
| 配当 | 基準になる額 | 普通株より少し多い |
日本で「優先株」というと、銀行などが発行する特殊な株を思い浮かべる方が多いと思います。ドイツの優先株は、取引所に上場していて、個人が普通に売買できる点が違います。会社を支配している創業家などが議決権のある普通株を持ち続け、一般の投資家には議決権のない優先株を買ってもらう、という形で使われてきました。
3社の2025年度の配当を比べる
| 会社 | 普通株の配当 | 優先株の配当 | 差 |
|---|---|---|---|
| フォルクスワーゲン | 5.20ユーロ | 5.26ユーロ | 0.06ユーロ |
| BMW | 4.40ユーロ | 4.42ユーロ | 0.02ユーロ |
| ヘンケル | 2.05ユーロ | 2.07ユーロ | 0.02ユーロ |
差は2〜6セントです。フォルクスワーゲンで計算すると、優先株の配当は普通株より約1.2%多いだけです。「優先株は配当が多いから得」と言えるほどの差ではありません。
実際にどちらを買うかで大きいのは、配当の差よりも株価の差と取引の量のほうだと思います。ヘンケルは公式サイトで、優先株のほうが普通株よりも大幅に取引が活発だと説明しています。取引が少ない種類は、買いたい値段・売りたい値段で約定しにくくなります。
優先株か普通株か。注文の前に、銘柄名とコードを口座の画面で見比べる習慣をつけておけます。
欧州株1,800銘柄以上・9取引所に対応。特定口座は使えますが、NISAの対象外です。手数料は取引所ごとに最低額があり、少額の買付では負担率が上がります。
BMWは2026年6月30日に優先株をなくした
BMWは2026年5月13日の株主総会で、優先株をすべて普通株に1対1で転換することを決めました。賛成は株主総会で99.99%、優先株の株主だけの総会で99.77%でした。優先株の株主に追加の支払いは求められていません。
| 日付 | できごと |
|---|---|
| 2026年5月13日 | 株主総会と優先株主の総会が転換を承認 |
| 2026年6月30日 | 定款の変更が商業登記され、転換が発効。優先株の取引と上場はこの日で終了 |
| 2026年7月1日〜3日 | 口座の優先株が自動的に普通株へ切り替え(株主の手続きは不要) |
同社の説明では、転換前は資本の約91%が普通株、約9%が優先株でした。旧優先株は約5,468万株で、普通株として2026年1月1日からの配当を受ける権利があります。0.02ユーロの優先配当は2025年度が最後で、2026年度からはすべての株に同じ額が配られます。
BMWはこの変更を「1株1議決権」という企業統治の原則に沿うものと説明しています。あわせて、普通株のうち市場で流通する株が約19%増え、DAXなどの株価指数での比重が高まる効果も挙げています。BMW株そのものについてはBMW株の記事で扱っています。
買うときに確認したいこと
- どちらの種類の株か:フォルクスワーゲンはVOW(普通株)とVOW3(優先株)、ヘンケルはHEN(普通株)とHEN3(優先株)。当サイトのフォルクスワーゲン株の記事とヘンケル株の記事は、どちらも優先株を扱っています
- 株価指数に入っているのはどちらか:指数に採用されている種類のほうが、一般に取引が活発です
- 議決権が必要か:個人投資家が株主総会で議決権を使う場面は多くないと思いますが、必要なら普通株を選ぶことになります
- 証券会社でどちらが買えるか:サクソバンク証券で両方の種類が買えるかどうかは、当サイトでは確認できていません。取引画面で銘柄名をご確認ください
ここからは筆者の考えです。筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています。
個人で少額を買うなら、配当の数セントの差よりも、取引が活発なほうを選ぶのが実用的だと思います。BMWが優先株をなくしたように、2種類の株を1つにまとめる流れもあります。種類の違う株を持つ場合は、会社の発表にときどき目を通しておくと安心だと思います。スウェーデンのA株・B株やデンマークのマースクなど、北欧にも似た仕組みがあり、OMXS30の記事で触れています。
まとめ
- ドイツの優先株は、議決権なし・配当が少し多い株。取引所で普通に売買できる
- 2025年度の配当の差は、フォルクスワーゲン0.06ユーロ、BMWとヘンケル0.02ユーロ
- BMWは2026年6月30日に優先株を普通株へ1対1で転換。優先配当は2025年度が最後
- フォルクスワーゲンとヘンケルは優先株のほうが取引が活発。買うときは銘柄名で種類を確認する
ドイツ株を持つ前に、口座開設の流れを見ておけます。
口座の種類と開設までの日数は当サイトの解説記事にまとめています。NISAは対象外です。
この記事の検証方法
- フォルクスワーゲンの配当は、同社の年次報告書2025「Dividend」を2026年9月19日に当サイトが確認しました
- BMWの転換は、同社のプレスリリース(2026年5月13日・6月30日)で確認しました。2025年度の配当額は同社の配当公告(2026年5月)によります
- ヘンケルの配当は同社の2026年4月27日の発表、取引の活発さは同社IRサイトの株式のページによります
- 配当の差の割合は当サイトが計算しました
- サクソバンク証券で各社の普通株・優先株の両方が買えるかは、当サイトでは確認できていません
- 記載の内容は2026年9月19日時点のものです
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています
この記事を書いた人:Kawa
ポルトガル在住30代の兼業投資家です。インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座で、欧州株ETFを中心に保有しています。ヨーロッパには、日本ではあまり知られていなくても、世界中で愛されている会社がたくさんあります。その面白さと、日本からの買い方を、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思って書いています。株価の見通しは、根拠と計算式を示して書きます。確認できていないことはそう書き、誤りがあれば訂正の経緯を記事に残して直します。詳しいプロフィール
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- フォルクスワーゲン株の買い方と株価・業績
- BMW株の買い方と株価・業績
- ヘンケル株の買い方と株価・業績
- ドイツ株は高配当ではない|利回り2.29%という実測
免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載の配当額・制度は2026年9月19日に当サイトが各社の公式発表で確認した内容にもとづいており、今後の株主総会の決議などにより変わる場合があります。株の種類ごとの条件は、会社の発表や証券会社の案内で必ずご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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