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スイス株の参加証券とは|議決権なしの株、ロシュはROGからROPへ【2026年】

スイス株の参加証券とは|議決権なしの株、ロシュはROGからROPへ【2026年】

※本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれます。

この記事の結論

  • スイスには、議決権のない「参加証券」(Partizipationsschein)という株に近い証券があります。スイスの債務法は、利益の配分で参加証券を株主より不利に扱ってはならないと定めています
  • ロシュは2026年3月17日に、それまでの無議決権証券(コードROG)を参加証券(コードROP)へ1対1で交換しました。ISINも変わっています
  • リンツは、記名株(額面100フラン)と参加証券(額面10フラン)の両方が上場しています。シンドラーは、記名株と参加証券の1株あたりの配当が同じです
  • 同じ会社でもコードが違えば別の銘柄です。注文の前に、どの種類なのかをコードとISINで確かめるのが確実だと思います
  • 参加証券とは別の仕組みとして、スウォッチ・グループには無記名株(額面2.25フラン)と記名株(額面0.45フラン)があります。どちらにも議決権がありますが、額面が5倍違うのに議決権は同じ1株1票のため、記名株のほうが1株あたりの議決権が強くなります

スイス株を調べていると、「ROとROP」「LISNとLISP」「SCHNとSCHP」のように、同じ会社にコードが2つあることに気づきます。片方は議決権のある株、もう片方は議決権のない「参加証券」です。

この記事では、参加証券の仕組みをスイスの法律の条文で確認し、ロシュ、リンツ、シンドラーの3社の公式資料をもとに整理します。ロシュは2026年3月に証券の種類とコードが変わったばかりなので、古い情報にご注意ください。

目次

参加証券とは:法律で決まっていること

参加証券は、スイスの債務法(Obligationenrecht)の第656a条から定められています。当サイトが条文で確認した内容は次のとおりです。

条文内容
第656a条会社は定款で、参加証券に分けた「参加資本」を設けられる。参加証券は出資と引き換えに発行され、額面があり、議決権は与えられない
第656b条取引所に上場している参加証券の参加資本は、登記された株式資本の10倍まで。上場していない分は2倍まで
第656c条参加証券の保有者には議決権がなく、定款に別の定めがなければ、総会への出席など議決権に関連する権利もない
第656f条定款は、利益の配分、清算時の残余財産、新株の引受けで、参加証券の保有者を株主より不利に扱ってはならない
スイス連邦の法令サイトFedlex掲載の債務法より(2026年9月19日確認)

まとめると、参加証券は「会社の方針には口を出せないが、お金の面では株主と同じ扱いを受ける」証券です。会社の側から見ると、創業家などが議決権を保ったまま、外部から資金を集められる仕組みになっています。

ロシュ:2026年3月に「ROG」から「ROP」へ

製薬大手のロシュには、議決権のある無記名株(コードRO)と、議決権のない証券の2種類があります。議決権のない証券は、長いあいだ「Genussscheine」(無議決権証券、コードROG)という古い形のものでした。

ロシュは2025年7月22日に、これを参加証券へ交換する方針を発表しました。理由として同社は、Genussscheineが時代に合わなくなった証券の形であること、改正されたスイスの会社法に合わせた調整であることを挙げています。2026年3月10日の株主総会で承認され、次の日程で実施されました。

日付内容
2026年3月10日株主総会が交換を承認。あわせて、無記名株の額面を1フランから0.001フランへ引き下げ(差額の0.999フランは株主に現金で払い戻し)
2026年3月16日無議決権証券(ROG)の最後の取引日
2026年3月17日参加証券の取引開始。コードはROP、ISINはCH1499059983
ロシュの発表(2025年7月22日、2026年3月10日、3月16日)より

交換は1対1で、口座で保有している分は銀行のシステムを通じて自動で切り替わったと、同社は説明しています。参加証券は以前の証券と経済的に同等で、配当と清算時の残余財産を受け取る権利は無記名株と同じだということです。2026年の総会で承認された配当は1株9.80フランで、39年連続の増配でした。

注意したいのは、古い記事やデータには「ROG」のまま残っているものがある点です。当サイトのロシュ株の記事も以前のコードで書いていたため、2026年9月19日に修正しました。

ロシュのように、証券のコードが途中で変わることもあります。注文の前にコードを確かめる習慣をつけて、取扱いを口座の画面で見ておけます。

欧州株1,800銘柄以上・9取引所に対応。特定口座は使えますが、NISAの対象外です。手数料は取引所ごとに最低額があり、少額の買付では負担率が上がります。

リンツ:記名株は額面100フラン、参加証券は10フラン

チョコレートのリンツ&シュプルングリーは、公式サイトで次のように説明しています。

種類コード額面数議決権
記名株LISN100フラン133,905株あり
参加証券LISP10フラン961,799口なし(総会に出席できない)
リンツ&シュプルングリー「Share information」より(資本は2025年6月12日時点)

額面が10対1なので、参加証券は記名株のおよそ10分の1の値段で取引されています。記名株は1株が1,000万円を超える水準のため、個人が買う場合は参加証券が現実的な選択肢になります。リンツの株価や業績は、リンツ株の記事で扱っています。2026年の配当額を種類ごとに同社の資料で確認することは、当サイトではできていません。

シンドラー:配当は記名株も参加証券も同じ

エレベーターのシンドラーも、記名株(SCHN)と参加証券(SCHP)の両方が上場しています。同社の配当のページは、数字を「記名株と参加証券の1単位あたり」としてまとめて掲載しています。2025年度の配当は6.80フラン(普通配当6.00フランと特別配当0.80フラン。ページ上は取締役会の提案と注記)で、記名株でも参加証券でも同じ金額です。

議決権のほうは大きく偏っています。同社によると、2023年末の時点で、シンドラー家とボナール家、その関係者が記名株4,602万9,208株を持ち、議決権の68.6%を占めています。記名株の発行数は6,707万7,452株です。

当サイトのシンドラー株の記事では、以前、2種類の配当額が違うように書いていました。公式ページを確認したうえで、2026年9月19日に訂正しています。

スウォッチ:参加証券とは別の「無記名株・記名株」という仕組み

時計のスウォッチ・グループにも、コードが2つあります(無記名株のUHRと記名株のUHRN)。ただし、これはここまで説明してきた参加証券とは別の仕組みです。参加証券には議決権がありませんが、無記名株にも記名株にも議決権があります。違うのは額面と、それにともなう配当の金額です。

種類コード額面2025年度の配当議決権
無記名株UHR2.25フラン4.50フラン1株1票
記名株UHRN0.45フラン0.90フラン1株1票
株価データサイト(SIX上場銘柄の情報を扱う証券会社のページ)で2026年9月29日に確認。額面・配当とも5対1の比率

額面も配当も、無記名株が記名株のちょうど5倍です。ここまでは、値段の違う2種類の株、というだけの話に見えます。ポイントは議決権のほうで、額面が5倍違うのに、議決権は無記名株も記名株も同じ「1株1票」です。つまり、同じ金額を投資するなら、記名株を買ったほうが多くの票を持てる計算になります。創業家が議決権の集中する記名株を厚く保有し、会社の支配権を維持しているとされています。

スウォッチ株の業績・買い方はスウォッチ株の記事で扱っています。当サイトでは、この記事の無記名株・記名株の数字を、スウォッチ・グループ自身の公式サイトから直接確認できていません(公式の株式情報ページが見つかりませんでした)。SIX上場銘柄の情報を扱う証券会社のページで確認したものであり、一次資料としてはやや弱いことをご了承ください。

個人投資家が気をつけたいこと

  • コードとISINを確かめる。同じ会社でも、株と参加証券は別の銘柄です。ロシュのように、途中でコードとISINが変わることもあります
  • 株価と取引の量は種類ごとに違う。配当の金額が同じなら、株価の安いほうが利回りは高く計算されます。取引の少ない種類は、希望の値段で売買しにくいことがあります
  • 配当の税金は同じ。スイスの会社の配当には、株でも参加証券でも、原則としてスイスの源泉税35%がかかります。例外は資本準備金から払われる配当の記事で説明しています
  • 証券会社の取扱いを確かめる。サクソバンク証券が各社のどの種類を取り扱っているかは、当サイトでは確認できていません。口座の取引画面でご確認ください

筆者はIBKRの口座で欧州株ETFを中心に保有しています。少額の個人投資家にとって、議決権がないことの影響は大きくないと思います。それよりも、コードの取り違えや、古いコードのままの情報を信じてしまうことのほうが、実際の失敗につながりやすいと考えています。

議決権の違う株は、ほかの国にもあります。北欧については北欧株のA株・B株の記事、ドイツについてはドイツ株の優先株の記事をご覧ください。

まとめ

  • 参加証券は、スイスの債務法が定める議決権のない証券。利益の配分では、株主より不利に扱ってはならないと決まっている
  • ロシュは2026年3月17日に、無議決権証券(ROG)を参加証券(ROP、ISIN:CH1499059983)へ1対1で交換した
  • リンツは記名株(額面100フラン)と参加証券(額面10フラン)。参加証券は総会に出席できない
  • シンドラーの配当は、記名株も参加証券も同じ金額。議決権は創業家側が68.6%(2023年末)
  • 注文の前に、コードとISINで種類を確かめる
  • スウォッチの無記名株(UHR)・記名株(UHRN)は参加証券とは別の仕組み。両方に議決権があるが、額面5倍の差に対して議決権は同じ1株1票のため、記名株のほうが議決権が強い

スイス株が候補なら、口座開設の流れを先に見ておけます。

口座の種類と開設までの日数は当サイトの解説記事にまとめています。NISAは対象外です。

この記事の検証方法

  • 参加証券の決まりは、スイス連邦の法令サイトFedlexの債務法 第656a条・第656b条・第656c条・第656f条を2026年9月19日に当サイトが確認しました
  • ロシュは、同社の発表2025年7月22日、2026年3月10日(株主総会)、2026年3月16日で確認しました
  • リンツは同社のShare informationのページで確認しました
  • シンドラーは同社のDividendsとShare capital structureのページで確認しました
  • スウォッチの無記名株・記名株の額面と配当は、SIX上場銘柄の情報を扱う証券会社のページで2026年9月29日に確認しました。スウォッチ・グループ自身の公式株式情報ページは確認できませんでした
  • 記載の内容は2026年9月29日時点のものです(スウォッチの節を追記した日付)
  • 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています

この記事を書いた人:Kawa

ポルトガル在住30代の兼業投資家です。インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座で、欧州株ETFを中心に保有しています。ヨーロッパには、日本ではあまり知られていなくても、世界中で愛されている会社がたくさんあります。その面白さと、日本からの買い方を、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思って書いています。株価の見通しは、根拠と計算式を示して書きます。確認できていないことはそう書き、誤りがあれば訂正の経緯を記事に残して直します。詳しいプロフィール

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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載の内容は2026年9月19日に当サイトが各社の公式資料と法令で確認したものにもとづいており、証券のコードや配当の条件はその後に変わる場合があります。最新の内容は、各社の発表や証券会社の案内で必ずご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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この記事を書いた人

ポルトガル在住30代の兼業投資家です。インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座で、欧州株ETFを中心に保有しています。ヨーロッパには、日本ではあまり知られていなくても、世界中で愛されている会社がたくさんあります。その面白さと、日本からの買い方を、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思って書いています。株価の見通しは、根拠と計算式を示して書きます。確認できていないことはそう書き、誤りがあれば訂正の経緯を記事に残して直します。

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