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この記事の結論
- フランスの一部の会社には、株を記名式で2暦年以上持ち続けると配当が10%増える仕組みがあります。ロレアル・エア・リキード・エンジーが公式に案内しています
- 上乗せは1人あたり資本の0.5%まで(ロレアルの説明)。エア・リキードは配当に加えて、無償で配られる株の数も10%増えます
- 条件は、株を自分の名義で会社の株主名簿に載せる「記名式」にすることです。証券会社で持つだけの通常の形(無記名式)では対象になりません
- 日本の証券会社を通じて持つ株を記名式にできるかは、当サイトでは確認できていません。この制度を前提に銘柄を選ぶのは避けたほうがよいと思います
フランス株を調べていると、「長く持つと配当が10%増える」という話に出会うことがあります。フランス語では「dividende majoré(上乗せ配当)」や「prime de fidélité(ロイヤルティ・ボーナス)」と呼ばれる仕組みです。
配当が1割増えるなら魅力的に聞こえますが、条件があります。この記事では、この仕組みを公式に案内しているロレアル・エア・リキード・エンジーの資料で、条件と上限、手続きを確認しました。そのうえで、日本から投資する人が使えるのかを考えます。
上乗せ配当の条件は「記名式で2暦年以上」
フランスの株の持ち方は、大きく無記名式と記名式の2つに分かれ、記名式はさらに2種類あります。
| 持ち方 | どういうものか | 上乗せ配当 |
|---|---|---|
| 無記名式(au porteur) | 証券会社の口座で持つ、通常の形。会社の株主名簿には本人の名前が載らない | 対象外 |
| 管理記名式(nominatif administré) | 証券会社で持ったまま、会社の株主名簿に本人の名義で載せる | 対象 |
| 純粋記名式(nominatif pur) | 会社の株主名簿の管理機関に直接口座を持って保有する | 対象 |
エア・リキードの資料では、上乗せを受けるための条件が次の3つにまとめられています。
- 株を管理記名式または純粋記名式で持っている
- 2暦年(1月1日〜12月31日)をまるごとその形で持ち続けている
- 配当の支払日(無償株の場合は割当の前日)にも持っている
「2暦年」がポイントです。2026年中に記名式にした株は、2027年と2028年を丸ごと持ち続けて、2029年から上乗せの対象になります。記名式にしてから実際に上乗せを受け取るまで、2年以上かかる計算です。
3社の上乗せの中身
| 会社 | 上乗せの内容 | 公式資料で確認できたこと |
|---|---|---|
| ロレアル | 配当が+10% | 同じ株主につき資本の0.5%が上限。上乗せの対象になる株は専用の銘柄コードで管理され、売るときは金融機関がコードを戻す。新しく買った株は、そのたびに記名の手続きが必要 |
| エア・リキード | 配当が+10%、無償株の数も+10% | 2024年の10株につき1株の無償割当では、記名で100株持っていた株主は10株ではなく11株を受け取った。2026年に買った株は、12月29日までに記名へ転換すると2029年から対象 |
| エンジー | 配当が+10% | 2025年度の配当は1株1.35ユーロで、上乗せは0.135ユーロ。2025年12月31日時点で2年以上記名で、支払日(2026年5月5日)まで同じ名義で持つ株が対象 |
エンジーの例で言えば、配当利回りが仮に5%の株なら、上乗せで5.5%相当になる計算です。長く持つ前提の投資家にとって、小さくない差だと思います。
配当が10%増える仕組みは、記名式にできるかどうかが分かれ目です。日本の証券会社経由で記名式にできるかは確認できていませんが、フランス株の取扱いは先に見ておけます。
欧州株1,800銘柄以上・9取引所に対応。特定口座は使えますが、NISAの対象外です。手数料は取引所ごとに最低額があり、少額の買付では負担率が上がります。
記名式にする手続き
ロレアルとエア・リキードの説明では、証券会社で買った株を記名式にするには、取引している金融機関に「管理記名式への転換」を依頼します。金融機関が会社の株主名簿の管理機関に届け出て、口座の管理はそのまま続けます。
ロレアルは、記名式にすると保管の手数料が上がる場合があるとも書いています。上乗せ分と手数料の増加を比べる必要があるということです。また、新しく買い増した株は、そのたびに手続きをし直す必要があります。
日本から投資する人は使えるのか
ここがいちばん大事な点です。上乗せを受けるには、自分の名義で会社の株主名簿に載る必要があります。日本の証券会社を通じて欧州株を持つ場合、株は証券会社の先にある海外の保管機関などを通じて保有されることがあり、本人の名義で名簿に載る形にはなっていないことが考えられます。
サクソバンク証券の口座で持つフランス株を、管理記名式に転換できるかどうかは、当サイトでは確認できていません。関心のある方は、口座を開く前に同社に問い合わせていただくのが確実だと思います。
もう1つ、上乗せ分にもフランスの配当税がかかるのか、かかる場合の扱いが通常の配当と同じかも、当サイトでは確認できていません。フランス株の配当にかかる税金の基本は配当税を9か国で比べた記事、フランス株のコスト全体はフランス株の特徴の記事で扱っています。
この仕組みをどう受け止めるか
ここからは筆者の考えです。筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています。
上乗せ配当は、会社が長く持ってくれる個人株主を大事にしていることの表れだと思います。その意味で、会社の姿勢を知る手がかりにはなります。
ただ、日本から投資する場合は、使えるかどうかが分からない以上、上乗せ配当を計算に入れずに、通常の配当で利回りを見ておくのが安全だと思います。使えることが確認できたら、そのときに「おまけ」として受け取るくらいの考え方がよいのではないかと思います。
まとめ
- フランスの一部の会社は、記名式で2暦年以上持つ株の配当を10%上乗せしている(ロレアル・エア・リキード・エンジーで確認)
- ロレアルは1人あたり資本の0.5%が上限。エア・リキードは無償株の数も10%増える。エンジーの2025年度の上乗せは1株0.135ユーロ
- 2026年中に記名式にした株は、2029年から対象。記名式にすると保管の手数料が上がる場合がある
- 日本の証券会社経由の株を記名式にできるかは未確認。利回りは上乗せなしで見ておくのが安全
フランス株が候補なら、口座開設の流れを先に見ておけます。
口座の種類と開設までの日数は当サイトの解説記事にまとめています。NISAは対象外です。
この記事の検証方法
- ロレアルの仕組みは、同社のLoyalty Bonus and Registered Sharesのページを2026年9月19日に当サイトが確認しました
- エア・リキードの仕組みは、同社の株主ガイド2026年版のFiche pratique n°3(Prime de fidélité)で確認しました
- エンジーの金額と条件は、同社のDividend and loyalty bonusのページで確認しました
- 本記事では、公式資料で仕組みを確認できた3社だけを取り上げています
- 日本の証券会社(サクソバンク証券を含む)経由で保有する株を記名式にできるか、上乗せ分にかかるフランスの配当税の扱いは、当サイトでは確認できていません
- 記載の内容は2026年9月19日時点のものです
- 筆者はポルトガル在住で、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座から欧州株ETFを中心に保有しています
この記事を書いた人:Kawa
ポルトガル在住30代の兼業投資家です。インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の口座で、欧州株ETFを中心に保有しています。ヨーロッパには、日本ではあまり知られていなくても、世界中で愛されている会社がたくさんあります。その面白さと、日本からの買い方を、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思って書いています。株価の見通しは、根拠と計算式を示して書きます。確認できていないことはそう書き、誤りがあれば訂正の経緯を記事に残して直します。詳しいプロフィール
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載の制度・金額は2026年9月19日に当サイトが各社の公式資料で確認した内容にもとづいており、各社の方針や株主総会の決議により変わる場合があります。記名式への転換の可否や手数料は、お取引の証券会社に必ずご確認ください。本記事は税務アドバイスではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。当サイトは本記事の情報に基づく損失について一切の責任を負いません。

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